卑劣な侵略者が我々を狙っている(主に腹筋を)
桜盛鉄理/クロモリ440
第1話
我々は狙われている……宇宙から、古代の超文明から、そして異世界から。
地球防衛の要となるのはシリアスレッドこと
そして今、【シリアスファイター】とSR-3の前にテラワロス帝国のロボット軍団が立ちはだかった!
「ねえ、レッド。何であいつらあんな格好なの?」
「おれに言われてもな。何か作戦なのかもしれん」
「そこまで考えとるんかのう。ただのハッタリじゃなかか?」
3人がそう思ったのは、敵のロボットの外観が不良を模した学ランに金髪リーゼント、襟足の長いメッシュ、そして鬼剃りパンチパーマだったから。
「ワシらはテラワロス帝国の切り込み部隊、【トリオ・ロス・番長ズ】や。先手必勝、こっちからいかせてもらうで!」
リーダーのパンチの声に金髪とメッシュが2体揃って前に出る。
「おう、何見てんだよ!」
「そんなにこの頭が気になんのかよ! ああ?」
威嚇しながらじりじりと近づいてくる2体の番長ズに身構えるSR-3。しかし番長ズは意外な行動に出た。
「「やんのかコラ!」」
言うと同時に2体は髪をむしり取り地面に投げ捨てた。そして現れるつるつるのスキンヘッド。
「え? は? えっ?」
「な、何だと?」
「ちょ、待ちんしゃい!」
あっけに取られて固まっているところに、スキンヘッドから照射された熱光線が3人を直撃する。
「きゃあああ!」
「がっ!」
「ぐはあ!」
リーダーの高笑いが響く。
「どうや! 光集束ファイバーを使った熱線兵器サンビームの威力は」
「くっ、卑怯な手を使いやがって!」
「卑怯? これも立派な戦術や。悔しかったらお前らもワシらを
「言われなくても! 巌! 聖! 特訓の成果を見せる時だ!」
「「おう!」」
そしてSR-3はそれぞれの武器を取り出す。
SRグリーンは円形の盾を両手で持って口元に持っていく。
「ビスケット!」
SRオレンジはカード型の手裏剣を広げて手に持つ。
「ババ抜き!」
しかしそれを見てリーダーは横に首を振る。
「何やそれ、深みも意外性も何んにもあれへんやないか! 物ボケを舐めんな!」
「くそっ! ならばこれでどうだ!」
SRレッドがライフルの銃口を口に当てる。
「ラッパ飲み!」
「あんたのが一番つまらん! もうええ、ワシがきっちり引導わたしたるわ!」
そして番長ズのリーダーが一歩前に出る。目が少し潤んでいるように見える。
「こ、この度はまことに……申し訳ありませんでしたッ!」
そう言ってリーダーは勢いよくその場に土下座した。そのあおりで光集束ファイバーの
「ちょっと! それ反則でしょ!」
「くっ! ふ、腹筋が」
「か、勘弁して欲しかばい!」
そしてSR-3を再びサンビームが襲う! 危うし、【シリアスファイター】!
その後も番長ズの攻撃は続いた。
パントマイムでは、小道具の壁を使った「階段」を下りていった金髪リーゼントが、次に上がってくるときにはズラ(もうズラでいいよね?)が後ろ前逆になっていたり。
メッシュの一発芸では、金髪のズラをさらに上に乗せて【増毛】したり。
そしてリーダーのズラを奪ってパス回しして逃げるリーゼントとメッシュ、それをリーダーが「やーめーろーよー! かーえーせーよー!」とあたふたと追いかけるショートコントを見せられるに至っては、【シリアスファイター】はすでに満身創痍だった(特に腹筋が)。
「こ、こうなったらもう合体して一気にけりをつけるしかない! いくぞ、巌! 聖!」
「「お、おう!」」
そして3体のSRが合体して、金色に輝く巨大ロボットが出現する!
『合体完了! グレートシリアス・ビッグゴールデンジャイアント!』
「おいおいおいおい! なんでそんな名前なん? 形容詞かぶりまくりやんけ!」
『いや、元からかぶってるお前らにだけは言われたくないんだが?』
「「「ぐはっ!」」」
そのツッコミに番長ズが鋭いアッパーを食らったように宙を舞う!
「……ふっ、なかなかええモン持っとるのう……けど次はこうはいかへんで? まあ、せいぜい気張りなや」
そう言い残して番長ズは爆発して果てた。
立ちのぼるキノコ雲を見ながら3人がつぶやく。
「何だろう、私たちこれで勝ったと言えるのかしら?」
「いいじゃないか。戦いはいつも空しいものだよ」
「しっかし次はまともなやつが来てくれんかのう」
こうして今日も、【シリアスファイター】は勝利をつかみ取った。
だが次の敵は新ネタを用意して今や遅しと出番を待っているに違いない。
負けるな【シリアスファイター】!
鍛えろ! 今日から腹筋100回3セットだ!
卑劣な侵略者が我々を狙っている(主に腹筋を) 桜盛鉄理/クロモリ440 @kuromori4400
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