第2話

ミッドナイトブルーの壁紙。黒を貴重とした天井。ダイヤモンドの装飾がついたシャンデリア。マホガニーの床。その上にある洋紅色の絨毯。オトウサマの情報より、“国軍総司令部”と推測。

「では、こちらへ」

“案内人”を自称したヒトが停止する。

「ああ、案内ご苦労」

案内人の気配の消滅を確認。


オトウサマが扉を4回叩く。

「お忙しい中失礼致します。フリォーティカ国軍軍事開発部最高責任者のプラネルと申します。この度、件の完成品を提供しに参りました」

「入室を許可する」

扉が開く。視覚情報より、“男性”、“焼けた肌”、“軍人”。よって“主”の情報と不一致。

「わざわざこんな辺境まで足を運びいただき誠にありがとうございます。現在局長は機密文書の確認を行っておりますので、少々お待ちください。.....どうぞこちらにお座りください、粗茶ですがご用意致します」

先程の男性の手元に白いティーポットと白いティーカップを確認。男性がティーポットを傾ける。視覚情報より、赤みがかった茶色の液体。“紅茶”と推測。嗅覚情報より“ダージリン”と推測。

「ありがたくいただこう」

オトウサマが紅茶に口を接触させる。


部屋の扉が開く。ヒトが入ってくる。

「大変長らくお待たせしてしまい申し訳ございません、プラネル殿。遠方より遥々おいでくださって誠にありがとうございます。きっとお疲れでしょう?ぜひゆっくりしていってください」

そのヒトは対面となる位置に座る。視覚情報より、“チャコールグレーの髪”、“淡青色の瞳”、“フリォーティカ国軍の制服”。照合の結果、“主”となる人の特徴と一致。


つまり、この方が“フリォーティカ国軍総司令部軍用危険物及び特殊兵器管理局局長”である“シリウス・シュヴァルツヴァルト様”。私の主。

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