万星、天は輝く

皇 神樂

第1話

私の名前は“リゲル・アンヒューム”。生まれて“16年”。白1色で3方向がガラス張りになった部屋で“オトウサマ”と“オカアサマ”に見られながら過ごしている。

全く同じ時間に起きて、見た目だけ変わった同じものを体内に含む。毎日同じ質問に全く同じ回答をする。全く同じ時間に全く同じように身体を動かす。全く同じタイミングで休む。コレを延々と繰り返していた。

〝今日をもってお前はココから出て行ってもらう〟

オトウサマが突然話しかけてきた。理解不能。その付近にはオカアサマの気配を察知。

「おい、どうした。何か反応しないのか」

オトウサマの音声を確認。理解不能。

「申し訳ありません。理解不能です」

理解不能の場合に使え、とオトウサマから学んだことを使用する。

「.....そうか。では、今日からお前は本来のを果たしてもらう。役目は以前説明した通りだ。応答せよ」

“役目を果たしてもらう”、以前オトウサマから学んだ。よってこの場合の反応は

「はい」

「よろしい」

オトウサマの頭部が縦方向に動く。“両親”は席を立つ。両親の気配の消滅を確認。次の命令まで待機。


***

「リゲル、この衣装に着替えろ」

命令を確認。視覚情報より対象を確認。よってこの場合は

「はい」


「今から馬車を使用して目的地へ向かう。この中に入れ」

命令を確認。視覚情報より“馬車”を確認。よってこの場合は

「はい」

馬車の中に入る。指定された通り、席に座る。


――あれから3時間ほど経った。

「目的地に着いた。馬車から出ろ」

命令を確認。視覚情報より“目的地”を確認。よってこの場合は

「はい」

目的地の外観は主に煉瓦。観音開きの扉は錆の状態より鉄製と推測。視覚情報より、3階建ての施設であることを確認。よって目的地は“軍用施設”と推測。


オトウサマの情報より、“国軍本部”と推測。よってここで私は役目を果たす。


ヒトが接近する気配を察知。視覚情報より“男性”、“軍人”。情報より“主”となる人の特徴と不一致。

正面に同一人物の気配を察知。嗅覚情報より、香油の匂いを確認。照合の結果、フランキンセンスと推測。音声情報より、年齢は推定10代後半から20代前半。

「お待ちしておりました、プラネル軍事開発部最高責任者殿。本日は遠方より足を運んでくださってありがとうございます。さぁ、おつかれでしょう。どうぞこちらへ」

扉付近に居るヒトが扉を開ける。聴覚情報より、扉はかなり古いと推測。

「入るぞ、ついて来い」

命令を確認。実行可能。よってこの場合は

「はい」

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