第三十八話 呪いの少女の今

───────ルミ視点───────

ずっとここに住んでるけど、勝手にいろんな人が来るんだよな...

帰ってくれないかなって思ってると、土に還っちゃうんだよね...

今まで何人死んだんだろう...

それに、自分自身も何度も死んでるんだよね...

そんなことを思っていると、とあることを思い出した

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数年前、いや数十、それよりももっともっと昔...

とある国のお嬢様は呪いを持っていた

出会った人に死を届ける呪い

その呪いのせいで、いつも孤独だった

呪いによって人々は困り果てた

「あの子に近寄ると死ぬ」

『あの子を追放しようとしても、そのために死ぬ』

「ならばどうするべきなんだ」

『あいつを殺そうにも、近寄れない』

「あの子が見てくると、どことなく恐怖を感じるんだ」

そして、ある日...国は滅んだ

国に災害が襲い掛かってきて、お嬢様以外は死んでしまったんだ

でも、元から孤独だったお嬢様は、気にも留めなかった

お嬢様は、何もかもがどうでもよかったんだ

本当は災害で死んでもよかったんだ

でも、運はそれを許さなかった

「本当は、みんなと死にたかったなぁ...」

そう、自然と口にした

そしてある日、自殺を試みた

完全に死んだと思った

でも目を覚ますと、元通りになっていた

(死ぬことは許されないのか...)

彼女は絶望した

何十年も孤独に過ごした自分を解放させたいのに...それができないから...

そして、彼女は滅びた国から出た

山へ行き、そこでも一人で過ごした

いつになっても、森は静かだった

でも、近寄ったものには死を届けてしまっていた

どの生物だろうと、どんな能力者だろうと...

「誰かと、話したい...」

そう思っていたある日、ある魔女に会った

その魔女は、呪いに耐性があったのか、近寄っても死ななかった

でも、触れたら死んでしまった

話し相手が見つかると思ったのに...

「やっぱり、ダメだったのか...もう、やめようかな...」

そう言っていると、斬撃が飛んできた

「誰かの邪魔になっちゃ困るな...」

これ以上、誰かと干渉したくない

そう思って、逃げた

山の奥へ...

もう服は面影がないぐらいボロボロだ...

こんな私に近寄る者はいないだろう...と思っていたのに...

ある日、とある男と天使が近寄ってきた

近寄ると死んじゃう...死んでほしくない...という意味を込めて

「近寄らないで」

と言った

でも、天使は近寄ってきた

天使は優しい声で

「大丈夫です、私たちは敵ではありません」

敵ではないなら、なぜ近寄ってくるのか...私にはわからない...

「そう言って、私を倒すつもりでしょう?」

心の中で抑えるつもりだったのに、言ってしまった

その言葉のせいで、自分が怖くなってしまった

体が震えている...

それを見ても天使は何とも思ってなさそうだった

むしろこちらを安心させようとしているのか

「いえ、私はあなたを救いに来たのです」

と言ってきたのだ、なぜ呪いを持つ私にそう言ってくれるのか

ずっと呪われてるのに...

「何を言ってるの、この呪われた私を救いに来たってどうしようもないでしょう...」

そう、もう手遅れでしかないのに

でも、天使は引かずに

「いえ、救いはあります」

と言ってくれたんだ

とても、安心できる気がして

「本当なの?」

と聞いてみた

するとすぐ返事が返ってきた

「えぇ、救いはあります」

でも、まだ不安なところがあった

この呪いに耐えられるかどうかを

「それが本当なら試してよ」

さぁ、ここからが重要なんだ...

あの時のように、耐えられなかったら、今度こそ心を閉ざしてしまうかもしれない

でも、天使は耐えてきた

「私は癒しの祈りの天使なんです、死ぬことなんて慣れて怖くないんですよ」

そうなのか...ならば...

「...あなたは本当に私を救えそうだ...」

やっと一人じゃなくなるんだ

やっと友達というものができるんだ...

やっと...解放されるんだ...

気がつけば、涙が出ていた

「もう、一人じゃないよ」

その天使の言葉に、もっと涙が出た

嬉しかったのだ

やっとその言葉を聞けて...

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でも、結局一人なんだよね...

まあ、たまに会いに来てくれるし、新しい友達もできたから、もうつらくない

死ぬ必要なんてなくなったんだ

これからも頑張って生きよう

─ルミは今日も平和に一人でいた

何が起きてるとも知らずに...


───────おまけ───────

ルミの呪いvsレオの適応力

ルミの呪いは強制的な死を迎えさせるとんでもないやつ

レオでもさすがに無理なようだ

レオ「強 く ね ?」

ルミ「まぁ...しょうがないさ...昔からあるんだから...」

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