第二十九話 雨を吹き飛ばす魔法使い

今日はすごい雨だ...

「私たちにとっては、これはとてもいいことなんだよね」

イチ、それはなんでだ?

「こうやって自由に飛べるからね!」

なるほどなぁ、水があれば飛べるんか、そのトライデントで...

「雨でも筋トレはできる!行くぞノア!走るぞぉ!」

「ちょやめてぇぇぇ!風邪ひいちゃうよぉぉぉ!」

正気かアリス!?

「...楽しそうで何よりだね...」

「...そうだな、オストよ...」

雨の日は外出る気なくなるから、家で大人しく...え...!?

気がつけば、さっきまであった雨雲が全部吹き飛んでた

ちょちょちょっと、ノアかアリス!なんかした!?

「いや、走ってきただけよ」

「ハァ...ハァ...ハシリスギテツカレタ...」

お、おぅ...違うんだな...

あれ?水生生物達は?ニコあいつら見なかった?

「見てないです、なんかいないですね...」

おっかしいなぁ...

上空を飛んでると思ったが、いなかった

(吹き飛んだんじゃね?雲と一緒に)

「ハハハ!さすがにあり得ないだろ!竜巻あったわけじゃないし!」

サンの言う通り、あいつらが吹き飛ばされるなんてあり得ないはずだ

じゃあなんでいねぇんだろうな...なんて思っていたら

ズドーン!

落ちてきたなこれ...

落下地点に来てみると、一人の魔法使いとあいつらがいた

「イチ!イフ!それとわが妹たちよ!目を覚ませ!」

リアが4人を揺さぶるが、反応がないようだ

どけ、復活させてやる

シュゥゥゥーッ!

うぉぉ!なんか今回は勢いがちげーな!4人一気に復活させちゃったぜ!

(お前の能力あんま見たことなかったんだけどこれか)

そうだぜ、最近使ってなかったんだ...

「あー...頭打った...こいつクッションにしてやりかったのに...」

大丈夫か?イチ、タンコブできてるけど、冷やすか?

「冷却なら任せて!」

ひゅぅぅ...

「いてててて...冷たすぎるよ...」

「癒しの願いでもしましょうか?」

「頼むぜユウちゃん、痛みが引けばそれでいいんだ...」

ユウが手を合わせると、タンコブが小さくなっていき、そして消えた

「凄いじゃないか妹よ」

エルは祈りでなんかできるんか?

「僕は、守護ができるんだ」

なるほど...それぞれできることがあるんやね

「ちなみにニコは戦闘用天使だから、祈りとかはできないんだよ」

えっそうなん?

「だからニコだけ軽い武器を持ってるんだよね」

あぁ、光玉か

...えっユウとかエルみたいなやつは武器ないの?

「必要ないって感じかな、あるにはあるけど...」

そっか、あとこの魔法使いどうする?

「復活させて!修行に誘いたい!」

アリスは修行が好きなんか...

シュゥゥゥ...

「...いてて...ってあんたたち誰!?」

俺は俺だ!

「いや哲学じゃなくて!名前を教えて!?」

やってみたかったんだよなこれ、まあそれはいいとして

俺はポルサネだ!お前を復活させた人だ!

「...魔法使い?」

それはお前、俺は冒険者

「へ、へぇ...」

魔法使いは少し困惑しながらも

「私は風の魔法使い、名前というものがないの」

ほう、付けてやろうか?仲間になるってことになるけど

「仲間...!欲しいです!」

お前がなるんだぜ?

「なるほどです!」

まあ30号って名前つけるけど、なんて呼んでほしいか言ってみな

「アキナと呼んでほしいです!」

おっけーわかったぜ!

久々に復活させたような気がする...

雨止んだけど...夜になったな、今日はもう寝るか

「家の屋根修復終わったよ~!」

サンの家修正速すぎる

─雨が吹き飛んだ理由が気になるが、それより眠気が勝ち、二十八日目が終わった

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