沐浴
パーティに正式加入して数週、新人の私の教育期間を兼ねているのか特に苦労をするような冒険をする事はなかった。
冒険の日数も日帰りから長くても3,4日程で、男女同衾でも特別なトラブルは無かった。
その全てに、彼女は付いてきている。戦闘要員ではないが非力な精霊族と思えないほどの荷物を持ち(聞けば重力軽減魔法をかけているとか)、パーティの炊事洗濯も担当し、また打ち損じたモンスターが彼女の方に向かっても迎撃出来る程度の魔力も持ち合わせていた。
彼女とは最初の一見以来、余り話をしていない……無論挨拶程度は交わし、戦闘のミーティングにも参加をしているのだが、改めて見てもあの時の淫獣と結びつく所がない。
物腰も軟らかで、よく気が利き、パーティメンバーが卑猥な冗談を言うのを嗜める余裕すらある……。
冒険途中で其れなりに澄んだ湿地が見つかり、男女交代で水浴びをする事となった。無論私と彼女は同時にする事となる。
私の前で久々にローブを脱ぎ、其の肢体を見せつけてくる彼女……初日に見た光景は幻ではない、同性の私が見ても惚れ惚れする程だ……。
裸の侭しばし躊躇する私を、彼女は強引に水辺に引っ張る! 派手に転んで水飛沫を上げた私は彼女に助けられ……其の豊満な胸に顔を埋める……豊満な女性の体臭は私の鼻腔を擽り、水とも汗とも付かぬ濡れた肌は体温と初夏の温暖な気候に煽られ発生した湯気で周りの景色を溶かす様だ。
一人で大丈夫と固辞する私に半ば強引に密着し、どこから取り出したのかぬるりとしたソープを使い、マッサージをする様に全身を使い洗い出す……こそばゆい様な、気持ちのいい様な……
不意に彼女の指が、私の乳首に触れる。
びくっとして一気に現実に引き戻された私は、巫山戯ないで洗うならちゃんと洗って、というが……彼女の指は止まる事が無く……。
私は嫌がりつつも、彼女の指の動きを止める事は出来なかった……上気する顔、荒くなる呼吸、胸から腹、尻と恥丘……どんどん下がる彼女の手……
不意に耳元で
コノママ、ツヅケテモイイノカシラ?
私ははっとして反射的に水中に逃れる。温めの水は現実に引き戻すには不足だったが、其れでも何とか、彼女の誘惑を断ち切った。
結構です……さ、早く上がりましょう、という私をあの時の様な……小馬鹿にする様な表情で見た後、
急に私を抱き寄せ、また、接吻をする……。
……一瞬の様な、何時間もかけた様なその行為の後、彼女は口と口との間に伝った一筋の架け橋を指先で拭い
焦らないわ……ゆっくり、いらっしゃい……と呟く。彼女は一体……何処へ私を……。
また不意に彼女が私に水をばしゃりとかけ、夢現から現実に引き戻される。ほら、ご主人様たちが待っているわ、さっさと上がりましょう、といい、岸に上がって用意していた布を私に投げてくる。
そういえばあの布は、役に立ったのかしら?
その言葉で初日の事を思う出した私はかあと赤くなり、彼女に貰った布でわしわしと髪を拭き、あれは後で洗って返します、と言った。
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