狂乱


 ……初めての性交のは、生臭い臭気と飛び散る液体、そして獣の如き喘ぎ声が聞こえる、本来ならとても耐えきれないものであった。

 あの美しい妖精族がプラチナブロンドの髪を振り乱し、胸を上下に揺らしながら男の腰の上で跳ねる。身体中に男の陰茎から出る液を浴び、股に開いた二つの穴だけではなく、その細くしなやかな手と男のモノを咥えるだけで一杯になる小さな口、先が痛いほど赤く勃起した乳首と大きな胸の谷間、更には腋や足まで使い、四人の男の汚らわしき欲望を受け止める。

 私が見ているせいか、それとも普段からこの様な狂乱を行っているのか、男たちの行為はどんどんエスカレートし、一度に二人、三人、そして全員が一緒になり……。


 この様な行為を、これから何度も見せつけられるのか……。私は込み上げてくる吐き気と戦いながらも……


 この地獄の中、獣たちに蹂躙され嬌声を上げつつ、白濁に汚れても尚美しい……一輪の華に魅せられていた……。


 数時間に及んだ躁宴オルギーは幕を閉じ、精魂尽き果て倒れ込んだ男共の中、尚も腰を押し付けせがむ姿……やがて其の女は、いつの間にか倒れ込んでいた私にゆっくりと近付き……


 アナタハ、タエラレルカシラ?

 そう呟いたかと思うと、私の頬にどろどろに汚れた手を添え、


 私の唇を奪った……。


 いきなりの事で交わす事の出来なかった私は一瞬硬直したが、直ぐ我に返り、パシンッ! 女に平手打ちをする。

 その刹那、あんなに美しかった女の姿が、男共の体液と獣臭に塗れ、股間から流れる液汁を止めようともしない、酷く汚らわしいものに見えた。


 ……だが、叩かれてもなお余裕を見せる女の表情に、まだ未熟な私を小馬鹿にする様な、此処からは貴方の様な子供は入って来れないわ、お帰りなさい……という様な、そんな感情を感じ取った私は……


 大丈夫です……是からも、宜しく御願いしますね、さん!


 そう虚勢を張ると、パーティの溜まり場で待つ、と言い残しその場を去ろうとした……不意に女が、私に向けて布を投げてよこす。


 ……ちゃんと、アソコを綺麗にしてから行きなさい。


 そう、私も無意識のうちに……自分で自分を慰めていた。かぁと赤くなる顔を隠す様に私はその場から急いで出て行った。


 ……


 暫くののち、したリーダーとメンバーが改めて私の意思を聞く……あっさりと残留の意思表示をする私に驚きつつも、今回は敢えて覚悟を試す為の行為で、普段は今回の様な激しさはない、と教えてくれた。

 加入してくる女メンバーの5人に4人はこの「試験」に耐えられず武器を捨てるそうだが、他の男中心のパーティでも同じ様な試験はされていて、これでもうちは大人しい方だ、とも言われた。

 其処迄話した後ノックが聞こえ、入ってきたのは……出会った時の様な分厚いローブに身を包んだ彼女だった……あの美しかったプラチナブロンドも、長い耳も、美しかった双丘も紺色のローブで隠され、先程迄の妖艶な雰囲気は微塵も感じられない。

 リーダーの紹介に改めて宜しく、と軽く会釈をする……その様子は先程の人物とは別人なのじゃないかと勘繰る程だが……其の声は確かに彼女のものだった。


 また後日、改めて正式な契約をするという事で、今日は仮宿に帰る事となった。

 最低限の挨拶以外はほぼ無言のまま帰ろうとする私に、あの女は近付いてきて……


 マタ、アソビマショウ……コンドハ、アナタモイッショニ……


 そう耳元で囁いてきた。

 


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