第2話 入学式

 廊下へと新しく決まったクラスメイトたちが歩き出す。永瀬もついていく。


「番号順で並べー」


永瀬は一旦、長瀬あおいとやらの後ろに並ぶ。


「出席番号何番?」


「22番……です。」


急に声をかけられて、戸惑った。長瀬あおいと同じく知らない人だ。里山小のやつでは無い。背が高くて学ランがお似合いだ。スポーツをやってそうなそいつは永瀬の後ろに並んだ。23番ってことだ。


「では、体育館に向かいます。静かにね。」


列がゆっくりと進む。後ろの23番は24番のやつとコソコソ話している。他校のやつに挟まれた自分とは違っていいなと思いながら、長瀬あおいの後頭部を見つめ進んでいく。体育館への渡り廊下にはまだ微かに冷たい風が吹き込む。体育館の入り口が近づくと、先生が口を開く。


「体育館に椅子が並べられてるのでそれに順番に、男女別で座るからね。」


拍手が聞こえてくる。やがて、拍手がやんだ。


「四組!」


一時停止していた永瀬のクラスの列が進み出す。説明が雑だったから、どう座ればいいのか少し戸惑いながらも自分の定位置らしい椅子に着席した。体育館まで来れば、さすがに後ろからもコソコソした声は聞こえてこない。


そんなこんなで式が終わった。いや、大事な情報を忘れていた。永瀬のクラスの一年四組の担任は森つむぎという女性の先生だった。見た目から予想するに、まだ若そうだ。

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