座る理由ができたから
ぽんずとれもん
中学一年生
第1話 入学
まだ背負いにくそうなリュックと共に清々しい表情で堂々と足早に歩き、門をくぐった。彼の名は永瀬陽太。先月、里山小を卒業。この春、いや今日、中学一年生になる。永瀬は周りが小学校から同じ中学校に進んだ友と和気藹々と話しているのを横目にずかずかとお目当ての場所へと歩いた。
1ー4
21長瀬あおい 22永瀬陽太
(面倒くさいもんだ。同じクラスに同じ読みの苗字の奴がいるではないか。)
靴を22番と書かれた下駄箱へと放り込み、真っ白な上靴を履いて教室へ向かう。念の為、何度かクラスのプルートを確認したのち、教室へと踏み込む。永瀬の席は窓側から三番目、後ろから三番目。まぁ真ん中といったところだ。永瀬はあえて雑にリュックを机に置く。ものが落ちたような音がなる。だがそれは教室の話し声と楽しい雰囲気にかき消された。前の席には女子の輪ができている。中心には1人の小柄な女子が座っている。……長瀬あおい。あおいという名前は男か女かわからなかったから勝手に男だと思っていた。
少ししてざわつきがおさまる。スーツがお似合いの少し背が高い男の先生が教室へやってきた。
「君たち一旦座ってね。……君たちは今日から中学生になるわけだ。豊井中の一員になるわけだ。この後放送がかかったら体育館に移動して入学式です。身だしなみしっかりやろうね。君たち体育館シューズ持ってきたよね。それを履いて移動するから。」
スカスカのリュックに手を伸ばし、小学校にはなかった体育館シューズとやらを取り出す。履いてみた感じ、脱げそうで不安だ。
「体育館へ移動を開始します。各教室の先生の指示に従って移動してください。」
放送がかかった。
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