トリプル賞 ゼロイチ

『ゼロイチ』

坂口青様の作品

https://kakuyomu.jp/works/16818093082072908912


前置き

夏希纏賞、白玖黎賞、奨励賞を獲得したトリプル賞作品。


……どゆこと?


奨励賞の基準がどうやら「大賞に出すにはテイストが違う作品かつ完成度が高いもの」らしいので、尖ってはいそうですね。



1 タイトル&キャッチコピー

タイトル:シンプル

『ゼロイチ』


シンプルとはいえ、ちょっと内容が見えてこないSFとかですかね? という印象を抱かせるタイトル。


キャッチコピー:謎

『僕は、ビット。』


見てきた作品の影響で宇宙始まりそうとか思った私を殴ってください。あ、ガ◯ダムじゃないです。A◯◯◯Aです。



2 あらすじ

あらすじ:ミステリアス

シンプルな一文で謎めいていますね。何がゼロで、何がイチか。見せてもらおうか、トリプル賞の小説とやらを(このネタ伝わります?)。



3 ストーリー

ストーリー:センスが光る。

主人公がビット、つまりデジタルでやりとりできる情報の基本単位というやつでして。わたくし文系なので詳しい理論とか見たらめまいのする類のものなのですが、要は私が今書いているものもビットの集まりというわけですな。普段ギガバイトやらテラバイトやら言っているのはこのビットが8ビット=1バイトなので馴染はあるんです。


これを主人公にするというのが結構挑戦的でした。普通コケるんですよ。人間らしさが出すぎたりとか、物語が綺麗にまとまらなかったりとか。


かなりまとまっていますし、説明的な文章でこのビットを打ち続ける人物の感情が客観的に描かれていて、それが最後の一文に感動をもたせられている。3つの賞に選ばれるのも納得ですな。


感情を揺れ動かす要素はないに等しいのですが、読了感はかなり良いでしょう。特に小説を書いている人には。


逆にいうと小説を書いていない人にはあまり刺さらないのでないかな、と思わなくもないですね。完成度の高さは尖り方も含めて相当ですね。



4 キャラ

キャラ:ビット

なぜ生まれ、何ゆえ1になるのか。疑問を抱きながら最後に辿り着く先はなんだろうという感じですね。人じゃないのでキャラ自体の魅力は薄いですが、キャラそのものの魅力が薄いからこそ際立つ演出なので問題なし。我が名はレギオンってやつです。キャッチコピー通りですね。



5 世界観

世界観:SFぽい

現代なので世界観も何もないのですが、人外視点なのでSFぽい雰囲気を感じなくもないという感じ。



6 文章

文章:整頓されている

無駄なく、といった感じですね。雰囲気的にはうーん、童話とかに近いでしょうか。



7 まとめ

挑戦的な題材にまとまった構成。賞に選ばれるのも納得の出来。

短編としてはひとつの理想形と呼べるのではないでしょうか。

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