西影賞 雪融けのケロイド

『雪融けのケロイド』

冷田かるぼ様の作品

https://kakuyomu.jp/works/16818093080252201954



前置き

言い方の印象は悪いかもしれないですが、テンプレートなキャラクター(褒めてます)。わかりやすいので展開を受け入れやすいですね。



1 タイトル&キャッチコピー

タイトル:おいしい

『雪融けのケロイド』


傷じゃなくてケロイドというところにセンス感じますね。私もこのくらいのタイトルセンスほし……げふんげふん。



キャッチコピー:好き

『先輩、痛いほど恋しいです――なんて。』


好きです(直球)。今までみたキャッチコピーの中でダントツで好み。

え? 主人公の心情の「好き」じゃないのかって?


残念だったな、私の好みの話だよ。



2 あらすじ

あらすじ:シンプル

シンプルですね。主人公の立場がはっきりわかります。



3 ストーリー

ストーリー:恋い焦がれる


いやーいいですね。甘酸っぱくはないんですけどリアルな恋愛描写、特に心理描写が凄く良い。凄く少女という感じ。幼馴染の我儘具合とかも現実的ですね。

先輩との距離感も絶妙ですし、最後の方の文の切なさがひどく際立っておりまして、なんですかこう、読んでいるこっちが悔しさを感じてしまうような文章ですね。読後感も悪くはなく、「恋」というのを物語に落とし込んだおいしさが詰まっておりますね。


4 キャラ

キャラ:リアル

先輩に恋する少女という描写が解像度高い。ストーリー全体を通して考えてもタイトルの『雪融けのケロイド』という表現がかなりしっくり来る。先輩に関してもこれは惚れるだろうと思えますし、幼馴染の行動も自然。そして主人公の先輩に対する想いが愛しさと切なさともどかしさが物凄く良い。


さっきから凄いとしか言っていない気がする(語彙クソ雑魚)。



5 世界観

世界観:文芸部

文芸部という空気感が伝わってきますね。人数少ないのもそうですし、文に惹かれるのも、文に恋するのも、終わりが文なのも、文芸部という設定を活かし切ったと思います。



6 文章

文章:心

心情がひしひしと伝わってきますね。もう乙女心と言っても良い。



7 まとめ

最後の感情といいますか溶けたビターチョコのような文章の流れがとてもおいしい。あらすじにしてもこの良さはきっと伝わらないでしょう。

文章の上手さは無論この企画で受賞した方々は皆同様に持っていますが、この作品はあやと表現してもいいかもしれません。前述しましたが、まさに心といった感じ。


全編通して外気の冷たさと体の中の熱を感じさせてくれる文で編まれた青春小説。甘々とした恋愛小説ではないものの、溶けたチョコのような甘さを感じさせてくれます。


正直恋愛小説は興味がない類なのですが、確認作業関係なく最後の文は読み返したいほどでした。というか読み返しました。

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