6月19日の君へ

『6月19日の君へ』

天井 萌花様の作品

https://kakuyomu.jp/works/16817330661237704699


6月19日、河合奈緒美は友人の墓を訪れる。そこから回想で友人との思い出を振り返るという形式。

太宰治作品と桜桃忌について知っておくと楽しめる。もちろんなくても問題なし。



前置き

X上で「酷評されたい人~」とふざけて言ったら来た方。どうなってるんですか、私だったら酷評が怖くてその文字を見ただけで膝から崩れ落ちて泣きさけ(


同作者で『水中夢中』というカクヨム甲子園2023のAKRacing賞受賞作品があるのですが、逆張りでこちらを。


嘘です。これが好きなだけです。

短編+以前読んだことのある作品なので読了。



1 タイトル&キャッチコピー


タイトル&キャッチコピー:シンプル

タイトルは『6月19日の君へ』

キャッチコピーは『二人の少女の愛とすれ違いの物語』

話の内容に桜桃忌と太宰治が関わってくるのでタイトルの意味としては完結している。雰囲気も文学的な内容なので特に言うところはないですね。


キャッチコピーは……内容的に仕方ないかもしれませんが、正直薄味。


文学的なタイトルとキャッチコピーで惹かれる読者は、まぁ……少ないでしょうね……悲しみ。



2 あらすじ


あらすじ:丁寧

話の流れがしっかりわかります。

印象的なセリフも入っているので、引き込まれると思います。

文学作品と特有の「人物そのものが異世界」といった感覚を味合わせてくれるところを期待させてくれます。まる。



3 ストーリー


ストーリー:文学的

こういう現代ドラマは現代人役と異世界担当がいると勝手に思っていて、主人公の河合奈緒美は現代人の感覚で親友である中谷治子という異世界を見ているという感じなんですよね。


純文学が好きで様々な作者のいろいろな作品を読み、魅せられている、憑かれたといってもいい中谷治子とって、きっと主人公の人間性というものは居心地が良かったのでしょう。だからこその親友で、だからこそ理解者になりえてはいないところがある。


現代ドラマらしさ文学作品らしさが綺麗に出ていると思いました。

ストーリー的には山あり谷ありという感じでもないですし、人によってはモヤっとしたまま終わる可能性もあり。


逆に言えば、ダンジョン配信やらVの者、スローライフとかが流行っている時流には添えていない、とも言える。


好きなもの書ければいいのだ、私はこういうの好きですし。



4 キャラ


キャラ:百合

メインキャラどちらも、学校生活らしい不器用さや心情が垣間見えたりして、表現としてはとても丁寧。


評価上百合としたが、恋愛とかのジャンル的な百合ではなく、超ハイパーな友情のライン(希望的観測)。互いに呪って呪われて、つながり続けている、続けなければならないのような呪いのようなもの。


綺麗な呪い。



5 世界観


世界観:文学

世界観形成がほとんど親友の中谷治子によって形成されているので文学依存にはなっている、程度。現代ドラマなので特筆すべき点は特に思いつかない。


6 文章


文章:回想

「大人になって、落ち着いた私が、昔をしみじみと思い出す」

そんな文章。


7 まとめ

作中の要素としては狂気や呪いが顔をのぞかせてくるが(無論オカルト話ではないので本当の意味での呪いではない)、互いを「想い」やってのことなので結末の仕方も綺麗。


 二度と手が届かないのに希望的。そんなお話。


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