終焉の謳い手〜破壊の騎士と旋律の戦姫〜

『終焉の謳い手〜破壊の騎士と旋律の戦姫〜』

柚月 ひなた様の作品

https://kakuyomu.jp/works/16817330662008261469


アルカディアという惑星で繰り広げられるファンタジー。

記憶喪失になったヒロイン:イリアと騎士である主人公:ルーカスが出会ったことをきっかけに物語が始まる。


脅威と陰謀に巻き込まれながら、明かされていく世界の真実。


ルーカスはその瞳に何を見るか――。



前置き

X上で「酷評されたい人~」とふざけて言ったら希望者が数人来ました。どうなってるんだい? 私だったら希望しないというのに。酷評されたら膝から崩れ落ちて咽び泣いて三日三晩立ち直れない自信がある。


紹介する作品は好みに刺さったもの、評価しやすいものを中心に紹介したいと思ってます。


私自身の好みではなくとも作品として構成などが優れているということがわかれば紹介する、という感じ。


なので酷評します(するな)。

この感想の参考までに読んだのは第七話まで。



1 タイトル&キャッチコピー


タイトル:硬派

『終焉の謳い手〜破壊の騎士と旋律の戦姫〜』


適当に思ったことを話す(書く)のですが、難しそうな作品だなと思いました。


ひとまず騎士と戦姫のワードがあるので戦闘はありそうだな、終焉の謳い手と破壊と旋律でファンタジーぽいなという印象です。シンプルなタイトルを二つくっつけた感じのタイトルなのでサブタイトルが強みを活かせてない感はなくもない。


漢字の割合が多いので堅苦しい印象は受けるでしょうね。気軽に読みたいときは敬遠されそうですが、逆に硬派が好みだと刺さる印象。



キャッチコピー:セリフ

投稿時点でのキャッチコピーは『【第五章開幕】この名に懸けて誓おう。君を助け、君の力になると——。』


恐らく主人公のセリフ。性格の一端が見えますし、展開もそういうものがあるのだなと感じられます。キャッチコピーで人の心をガッと掴むのは難しいので世界観と人物が見えるだけでもグッド。第五章開幕は話がどれだけ続いているかの情報なので、作品自体の情報を補足しているだけでそれ以上でもそれ以下でもない……はず。




2 あらすじ


あらすじ:情報量が多い

あらすじの中に世界観と設定とわりと先の展開が明示されてますね。公募用のあらすじとして考えれば情報は中途半端で止まってしまってます。web小説のあらすじとして見ると世界観自体の情報量が多すぎてストーリーが見えてこないです。

世界観を把握してもらおうとして情報量の多さで混乱させている印象。


タイトルの方が「騎士」と「戦姫」でキャラクターに焦点が当てられているので、あらすじのほうの世界観重視の説明にギャップが若干あり。


設定が好きなタイプの読者ならワードに惹かれる可能性ありといったところでしょうか。



3 ストーリー


ストーリー:ちょっとだけハードル高め


プロローグに謎が多すぎる。なぜそうなったのかや登場人物たちが何者なのか、というのがわからず話が進む為、本当に謎をちりばめるのと後述する文章の巧さを見せているだけに感じます。


プロローグの後にちょっと長めな世界観説明が入ってやっと本編に入る感じなので入り口を狭くしてしまっているイメージですね。


書籍で買った場合は問題はなさそうですが、web小説で考えると不親切気味。


他のエッセイで詳しく説明しているのですが、小説というのは登場人物と一緒にその世界を歩いていく行為だと個人的には捉えていますので、あらすじも加味してしまうと若干早くこの世界の住人になれみたいな圧力を感じるんですよね。


一話目限定なのですが会話と説明文のバランスが偏っていたり後手に回っていたりするのでそこも没入感から離れてしまってます。


とはいえ読むぞ、というスイッチを入れてプロローグと一話さえ読めれば後は面白いファンタジー世界が待っています。二話以降の戦闘描写等、わくわくさせてくれる描写が盛沢山。


ファンタジー好きにはとことん刺さる反面、流行している小説を好んでいたり読みなれている人からすると難解に感じるかも。



4 キャラ


キャラクター:バランス良し

キャラクターに関しては主人公が騎士団に所属しているのもあり、多め。

全体的にある程度個性があるのでわかりやすいです。ハーシェルというチャラめの騎士が出てくるのですが、真面目なキャラとの対比になっていますし、会話でそれぞれの性格が十分出せていました。


一話までの世界観の描写で情報量が多い最中、キャラクターに関しては特に混乱せずすっと情報が入ってくるので記憶力のない私でもそこそこ把握できるくらいの親切さ。仕事上の役割がはっきりしているのも影響しているのかと思いますね。


記憶喪失後のヒロインに関しては非常に描写が巧みなので目立つ。体が覚えている部分と記憶がなくてぼんやりと世界を認識している感じが非常にわかりやすく丁寧に描かれているので良かった(小並感)。



5 世界観


世界観:硬派なダークファンタジー、かな?


異世界ファンタジーとしては非常に中二心をくすぐる作品になっていると思います。

マナや魔獣の存在や、主人公の騎士という立場。また、ヒロインの詠唱士といった独特なジョブ(?)といった転生転移なしの硬派なファンタジーでほしいものが全部詰め込まれている。世界観的には明るくはないので、ダークファンタジーが好きな人には非常に刺さると思います。

壮大なファンタジーだと25000文字程度では全然世界観の全容が把握できないので難しいところですが、全容が見えないながらも緻密に練り込まれた世界観が窺えるあたり、作者の技量の高さは感じられる。


銀髪の詠唱士コラールとかワードがいいですよね。私がまだ中二病なだけかもしれませんけどっ!



6 文章


文章:流暢

文章に使われている言葉も、文章としての長短も特に引っかかるところもなく、読めます。世界観にあった文章になっており、また装飾過多にもなっていないので読むのにエネルギーを使うわけでもない。

非常に読みやすく、ほどよい文章。小説としての文章を楽しめるレベルで巧いと思います。



7 まとめ

おそらくタイトルで受ける印象と本編で受ける印象のギャップは少ない。

キャッチーさはないものの、世界観にどっぷり浸かりたかったり、壮大な長編ファンタジーが大好きな人には十分おすすめできる作品。


web小説としては文章力高めで、文章を装飾しつつ読みやすい範囲に収めている。巧み。


ファンタジーっていいよね(ファンタジー読むたびにいいそう)

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