幕間


 夢を見ていた。


 混沌とした戦場で、先達の騎士が笑っていた。


「お前は立派な騎士になる。その時まで、命は取っておけ」


 希望のない撤退戦の中、戦友が背を向けていた。


「死ぬなよ。俺の次に強いんだからな」


 悲嘆に暮れる日々を照らしてくれた女が、微笑んでいた。


「――威厳を出すのに、おひげでも生やすのはどうかしら?」


 夢だ。彼らとはもう、二度と会えない。分かっているのに、声が抑えられなかった。


「置いて、行くな……!」

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