第2話
「ふぁあ〜」
ん?今、何時だろう。また、いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。窓の外を見れば、もう黄昏色の空が広がっていた。
そろそろ、帰るか…。家に帰ったって楽しく家族と食事をするわけでもないし、スマホを触る事もテレビを見ることもない。まず、スマホは持ってない…。というか、学校に行っている間に消えていた。多分、必要ないと思われたんだろう。テレビはあるけど、大抵家族の誰かがそこにいる。
私たちは、お父さんとお母さん、そして弟の4人暮らしだ。私も少し前までは家族と仲良かったんだけどな…。
もう、会いたく、ない。っていっても、家に一緒に住んでいるから会わないのは不可能な話なんだけどね。どうせ、会っても気をつかって誰も話しかけてこない。…っていうか、気をつかってるんじゃなくて軽蔑してるのかもね。だけど、たまに弟は、空気を読むことがまだできない年齢なので、会ったら『高校って楽しいの??』と聞いてきたりすることがある。返答に困るし、周りの空気が悪くなる。だから、私はトイレやお風呂など意外は極力部屋からでないようにしている。ご飯はドアの前に置かれている。食器の後片付けは誰もいない時に部屋から出て、行っている。さすがに任せっきりじゃあね…。
空を仰ぐと、黄昏色が群青色に染まってきている。そういえば、私の名前ってなんで成田空って名付けたって言ってたっけ?なんか、お父さんお母さんが空のように大きく、美しい子になってほしいとつけた名前らしい。もう、高2だけど、そんな子になれたとは思えないよ…、私。ごめんね。
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