第7話
"昨晩、領主ヒュース邸にて、怪盗が出没。協力情報求む。"
という事が島の掲示板に貼られていた。
「何だ、この貼紙?」
と、ノイがその貼紙を睨めつけて言った。
「もうちょっと静かにしてくれよ…。」
とその隣にはメソドがいた。
今日はこの二人が買い出しである。
「立派な屋敷だと思ったが案外警備は雑なのか、これなら俺達も…。」
「よせ、場をわきまえろ。」
ここは島の中心の広場で人通りも多い、もし物騒な事を言ったら必ず目をつけられるだろう。
「前も言ったが何となく得体の知れないところなんだよ、変な事言うなよ…。」
「あ~そうだったな。」
「軽いな。」
そう溜息混じりでメソドが言うと
「いつも通りだ。」
と決まった台詞が流れてきた。
「しかしお前が言ってたほど警戒するような島じゃなさそうだぞ。」
「用心をするに越した事はない。」
しかし商店街は昨日と全く同じという訳ではなく、海賊達の他にも客はいた。
昨日のような不自然さはあまり感じない。
「ま、昨日買った野菜はあまりいい物じゃなかったから、俺としては都合よかったがな。」
「…悪かったな、傷んでいる野菜を買ってきちまって!」
そう、店員に勧められるまま買ってしまったので、騙された訳では無いと思うが、保存には向いていなかった為、改めて買い直しに今日は来た。
「いや、悪気があって言った訳じゃない、すまん。」
ノイはこうやって無意識に相手の指摘されたくないところを考え無しにずばりと言ってしまうから、嫌な奴と誤解されやすい。
(…でも仲間思いだし、料理上手いし、本当に嫌な奴って訳でもないけどな。)
「ところで俺からもひとつ提案いいか?」
おう、と答えると
「お前いい加減船員見習いから昇格したらどうだ?」
(この考え無し野郎…)
心中で悪態をつき、少し歩いてからこう言う。
「別に自分の事だからいいだろ?」
「俺達は…」
「あーあー、何も聞こえない、感じない。」
耳を塞ぎ聞こえないふりをするメソドにノイは少し眉根を寄せたが何も言わなかった。
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