第5話
「そんじゃ、今日もお疲れ様でした。」
「「「「お疲れ様でした。」」」」
「いただきます。」
「「「「いただきます!」」」」
一方こちらは海賊達の船、こちらも食事中のようだ。
「せんちょう~聞いてよ、ノイがさ…」
「うん、どうした~。」
ふくれっ面のまま話すガーナに顔を向け、彼は話を聞く姿勢を見せる。
「今日メソドやサナが許してくれたのにノイだけお菓子屋に行くのダメって言うんだよ、せんちょうからも何か言ってよ!!」
「お~そりゃあ大変だ。」
ただ、その返事はあんまり真剣に話を聞いているとは思えない。
「……せんちょう。」
「何だ、ガーナ?」
「さっき言った内容言ってみて。」
復唱するように言うも、当の船長はぽりぽりと頬を掻く。
「えっと…いつも通りノイと喧嘩したでいい?」
「もっと具体的に!」
「え~何ガーナのおやつ抜きにしたの?それとも…」
「やっぱり聞いてない!」
先程よりも二回り膨らむ頬に、サナはつんつんと優しくつつく。
「仕方ないわよ、ガーナちゃん…元からこんな人だから。」
「甲斐性無し。」
「加えてねぼすけ。」
ちょっとなんで俺の悪口に発展してんの、と四方八方から厳しい言葉を浴びるが、船長を守る選択肢を取る者はこの場にはいない。
「でも、今のは船長が悪いわねぇ。」
サナの言葉に船長以外のメンバーは首を縦に振る様子を見せつけられ「何このこてんぱんぶり…。」と彼は複雑な面持ちとなった。
「ごちそうさまでした。」
「「「「ごちそうさまでした!」」」」
ノイの料理を食べ切り、各々自分の部屋や仕事に行く。
その中で、メソドが船長に声をかけた。
「そうだ、船長お話があります。」
「おお、ついに船員見習いから卒業したいと?」
一言も言ってません、と冷静に告げるも船長のふざけた言葉は続く。
「じゃあ何、今日のガーナのおやつ買い過ぎて正直お金ピンチとか?」
「何でそうなるんですか。」
「…メソド、あたしメソドに無理させてた?」
そこで近くで聞いていたガーナが心配そうに下からメソドを見上げるので、メソドは首を振る。
「いや、大丈夫だって買う時に言ったじゃないか…。」
「でも『男は見栄を張る為に好きな女の子に貢いじゃう。』って…。」
大人二人はその言葉にピタリと体の動きを全て止め、ガーナの言葉に集中して聞く。
「…誰に聞いた?」
「サナ。」
訪れる無言の時、何も言えずにメソドは立ちすくんだ。
「で、本題は?」
「それを貴方が言いますか。」
え?と急に話題を変えられて戸惑うガーナに船長は声を掛ける。
「とりあえず、ガーナは今日もちゃんとお利口さんだったよっていう話。」
「えぇ?」
「さ、早く寝てね。」
「えぇぇ!?」
ぐいぐいと寝室の方に押し込まれ、そのまま話を聞く姿勢だったガーナは不満そうな顔になった。
「お利口さんは早く寝て、明日いっぱい遊ぼうね。」
「…はぁい。」
有無も言わさないその表情に、釈然としない顔をするものの、大人しく自分の部屋へ向かう。
「やっぱりなかなか聡い子だな、場の空気を何となくでも察しやがった。」
「そうですね、聞き分けのいい子ですよ。」
これはうかうかしてられないぞ、とにやけた表情をするので嫌な予感がするものの、メソドは聞く。
「何がですか…。」
「子ども扱いしていたら、いつの間にか…。」
「馬鹿な事言ってないで、オレの話聞いて下さい。」
そしてメソドはガーナに聞こえないよう声を潜めてこう言った。
「一応、サナやノイも呼んで下さい。重要な話ですから。」
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