第3話:ミーナの告白

「イェルクお兄さまは、ダンスはお好きかしら?」

 二人が初めて出会った、人工の泉の側にある大きな木の陰で、ミーナは目を輝かせながらイェルクに尋ねた。ミーナはイェルクに会って以来、城の庭を堂々と歩くようになっていた。またイェルクに会いたいという気持ちがそうさせた。幸い、とがめる者はいなかった。季節は移ろい、夏になっていた。

「ダンスは嫌いだ。動きがまるで洗練されていないと、コンラートにからかわれる。剣術以外のことは、どうにも苦手で困っている。奥様にも、叱られてばかりだ。」

 朴訥とした口調でイェルクは答えた。彼の行儀見習いとしての仕事は、領主夫妻の身の回りの世話だった。おおらかなレオポルトは真面目に働くイェルクを評価していたが、田舎くさいことを嫌うゲルトルートは、いかにも田舎貴族といった風体のイェルクのことを余り評価していなかった。

 でもそれは、自分たちと付き合っているからじゃないか、とミーナは思っていた。あの日泉でずぶ濡れになったイェルクは、ミーナの住む家で暖をとってから屋敷に戻った。ミーナの家のメイドたちが、イェルクが泉に落ちた理由をあれこれ考えてくれたが、屋敷の目ざといメイドが違和感を覚えて、奥さまに告げ口したに違いない、とミーナは考えていた。

 あるいは、イェルクお兄さまが奥さま自慢のコンラートお兄さまより、剣術が得意だからじゃないか、とミーナは考えていた。王城で他の貴族の子どもたちと一緒に剣術を学んできたコンラートは、剣術に対して自信たっぷりだった。ある日、レオポルトに付き従うイェルクを見て、コンラートは剣術の相手をするように命じた。顔立ちもよく、洗練されたコンラートは、顔立ちはいいのになんとなく鈍くさく見えるイェルクに対していらだっていた。イェルクは快く応じて、コンラートの相手をした。結果は歴然としていた。イェルクは、たった一太刀でコンラートに膝をつかせたのだ。その日から、二人の間に友情が芽生えた。コンラートは不思議と、イェルクとは対等に付き合おうとした。イェルクも、自分にない知恵や知識を持ったコンラートのことを尊敬していた。

 実のところ、レオポルトはイェルクをコンラートの友人とするためにイメディング家に招いたのだ。貴族の家柄としてはイメディング家がかなり上だが、レオポルトはビルング家に特別な恩義と親しみを感じていた。レオボルトはビルング家に命を救われたのだ。

 この国、リタラント国は、北のデゼルタ国と、何十年もの間戦争をしていた。互いに有利になったり、不利になったりを繰り返しながら、戦争はいつまでも続いていた。レオポルトの若い頃は、リタラント国が優勢だった。

 騎士として叙勲を受けたばかりのレオポルトは、デゼルタ国に攻め込む貴族たちと一緒に、馬に乗って駆けていった。しかし、乗馬も剣術もあまり得意でなかったレオポルトは、貴族の一団からはぐれ、敵に囲まれてしまった。一緒に攻め込んでいった貴族たちはレオポルトを助けようとしなかった。領主である彼らは、国王への義理として戦場に駆けつけはしたが、命懸けで戦う気持ちはさらさらなかった。彼らが死ねば、領地が乱れるからだ。

 絶体絶命の危機となったレオポルトのもとに駆けつけたのは、勇猛果敢で知られる、ビルング家の領主マルクスだった。マルクスは、まもなく結婚式の予定だったレオポルトのために退路を切り開き、自らは戦場に残って戦い続けたのだ。命拾いしたレオポルトは、今までたいした付き合いのない、元は農奴と噂される、騎士上がりの田舎貴族ビルング家とねんごろに付き合うようにした。土地が貧しく資金に乏しいビルング家に様々な援助を行ったりもした。


「そう、ダンスはお嫌いなの」

 ミーナはがっかりした。

「あと十年もして、わたしが大人になったら、お兄さまと一緒に踊りたかったのに。わたし、他の貴族のお姫さまたちよりも上手に踊ってみせるわ。」

 そう言ってミーナはくるっと一回転した。イェルクは手を叩いて、上手だ、と言った。

「何だ、そのざまは。まるで酔っ払いがふらついているようだな」

 ミーナは唇をへの字に曲げ、声がした方を意地でも見ようとしなかった。

「コンラート、そんな言い方をしたら、ミーナが可哀想だろう。ミーナはまだ子どもなのだ。しかもお前の妹だろう。もう少し、優しく……」

「俺に妹なんかいない。ここにいるのは居候の厄介娘だ」

 イェルクがたしなめても、コンラートは聞く耳を持たなかった。しかしこの二人の会話は、どんな内容でも楽しそうで、ミーナはやきもちを焼いた。

「お久しぶりです、コンラートお兄さま」

 ミーナはわざと、お兄さまの部分を強調した。

「俺はお前なんかに会いたくはないけどな、ウィルヘルミーナ。あの女も、何もかも忘れたふりして父上の情けに縋って居座りやがって、いまいましい」

 コンラートはウィルヘルミーナとあの女の部分を強調して、乱暴に言い放った。彼は、かしこまった場面以外では、貴族とは思えないような言葉遣いをした。ミーナはあの女という言葉に腹を立てて、コンラートの足を踏んづけてやろうと試みたが、すんでのところでコンラートは避けた。ミーナをからかっているのだ。

「コンラート、クラーラ様はお父上が正式に妾と認めて城内に住まわせているのだ。あまり失礼な言い方をするな」

 この国では一夫一妻制と決められていたが、妾を持って家で保護することは珍しくもなかった。妾の子は正妻の子より低く扱われるものの、妾の子が財産を相続したり家の跡を継いだりすることもままあった。妾のことも、妾の子のことも家族の一員だ、というのが、古くからの……人々が魔法を使えたときからの考え方だった。ただし、人の心はそんなに単純にはできていない。このイメディング家のようにいさかいが起こることはやはり珍しくもなかった。

「わかった、わかった。冗談だ。そんなに怒るな。しかし、お前はなんだってそんなにこいつらの肩を持つんだ?」

 怒るイェルクをあしらうようにコンラートが言った。ミーナも、イェルクがどうして自分たちに優しくしてくれるのか気にはなっていた。

 イェルクはしばらくの間考え込んでいた。そしてゆっくりと口を開いた。

「騎士ならば、困っている女性に優しくするのは当然のことだ。だがそれだけではない。私はきょうだいが欲しかった。兄や弟がいれば、互いに切磋琢磨してもっと強くなれるだろう。姉や妹がいれば、それを守るために、もっと強くなれるだろう。あの日、困り果てていたクラーラ様とミーナを見て、まるで私の姉や妹のように思ってしまったのだ」

「こいつはともかく、あの女を、姉ねえ。まあ、俺達はあいつとたった五歳しか歳が離れていないからなあ」

 コンラートはにやにやと、あざ笑うように言った。ミーナはイェルクが自分のことを妹のように可愛がってくれることを喜んでいた。しかし、そのときから、それが嬉しくなくなってしまった。今まで子ども扱いされたことも、嫌になってきた。

「そんなことより、コンラート。最近、剣術の稽古に身が入っていないぞ。怪我をしても知らないからな」

 イェルクがすかさず話題を変えたのは、ミーナにもわかった。コンラートはつまらなさそうに足元の小石を蹴った。小石はちゃぽん、と泉に沈んでいった。

「世の中には、天が与えたか、悪魔が与えたか知らないが、ものすごい才能を持った奴がいる。それがお前だ。俺にはお前を越えられない。お前だって、すぐに、俺相手の稽古じゃ物足りなくなる」

 ミーナは、気位の高いお兄さまがそんなことを言うなんて、と驚きの表情をした。

「コンラート、それは違う。私にそんな才能はない。私にあるのは、命を懸ける覚悟だけだ」

「だから俺はお前と稽古をするより、他に命を懸ける価値のあるものを見つけるさ。目下のところは、領主となるべく勉強することだな。そろそろ勉強の時間だから、屋敷に戻るぞ。じゃあな」

 コンラートは晴れやかな顔をして立ち去ろうとしたが、去り際にミーナの方を振り返り、意地悪な笑みを浮かべながらこう言い放った。

「母上が、秋にはお前を修道院にやるっておっしゃっていたぞ。大人になっても、イェルクと踊れる日は来ない。残念だったな」


 ミーナの心は激しく揺れた。修道院にやる、と言っても、一種の花嫁修行のために行くのは、貴族や大商人の長女や、せいぜい次女だけで、その他は修道女になり、生涯を修道院で過ごすのだ。もう二度と、クラーラやレオポルトに会うことも、イェルクに会うこともできなくなる。ミーナにとっては、死んだほうがましと思えるような話だった。

「いやよ、そんなのいやよ。お父さまやお母さまと離れるなんて……」

 ミーナはイェルクに抱きついて涙を流した。イェルクは少しの間戸惑い、やがてミーナの背中をぎこちなくなでた。

「ミーナ、貴族の娘として生まれたからには、いつかは親と離れて暮らすものだよ」

「いやよ! お母さまは、わたしがいなくなったら生きていけないと、いつもおっしゃっているのよ」

 ミーナはさらに激しく泣きだした。

「クラーラ様が、そんなことを……?」

 イェルクの動揺が、ミーナにも伝わってきた。ミーナは、直感的に、言わなくてはならない、と感じた。今言わなくては、一生伝わらないと思ったのだ。ミーナは涙に濡れた顔を上げた。

「イェルクお兄さま……。わたしはお兄さまとダンスを踊りたいの。ずっといっしょにいたいの。もし、わたしが修道院に連れて行かれたら、いつか迎えに来てほしいの……」

 イェルクの目が大きく見開いた。さらなる動揺が、ミーナにはありありと伝わってきた。でも言わなくては、とミーナは思った。

「お兄さま、わたしは五歳の子どもじゃないのよ。五歳の、立派な淑女よ。お母さまは、女の子は産まれたときから立派な淑女だっておっしゃるわ。わたしは本当にお兄さまのことが……」

 ミーナの目から、また涙があふれ出した。ミーナは必死になって泣き止もうとしたが、涙は止めどもなくあふれ、赤子のように泣き続けた。


「ミーナ、さっき、どうしてお前達の肩を持つのか、コンラートが私に尋ねたろう?」 

 イェルクは一つ一つの言葉をゆっくりと噛み締めるように話し出した。

「コンラートの前では言わなかったが、理由はもう一つあってな。それは……」

「それは?」

 ミーナは泣きじゃくりながら続きを待った。

「お前に自分の姿を、クラーラ様に実の母の面影を重ねたからだ」

「どういうこと?」

「これから話すことは、とても難しい話だから、わからないこともあるだろう。ただ、ひとつだけ、わかってほしいことがある。聞いてくれるか」

 ミーナは涙を拭った。イェルクが自分を子ども扱いせずに話してくれているようで、嬉しかったのだ。


 今から二十五年ほど前、まだイェルクが生まれていなかった頃、リタラント国とデゼルタ国の戦いは、デゼルタ国が圧倒的優位に立っていた。デゼルタ国は、当時見つかった銀山のもたらす莫大な富をもとに、遠い異国の遊牧民を傭兵として大量に雇ったのだ。その遊牧民は掠奪や陵辱の限りを尽くすことで有名な、悪名高い連中で、リタラント国の民は彼らを言葉どおりの意味で「蛮族」と呼んだ。蛮族の多くは、ミーナと同じ、赤毛に茶色の瞳をもち、皮膚が薄く赤ら顔をしていた。

 幼い頃のミーナは、自分の外見をさほど気にしていなかった。今のミーナからすれば、あの愛されているという自信はどこからきたのだろう、と思うほどだ。ミーナは修道院で他の娘たちから散々「蛮族の子」とからかわれ、自分の外見にすっかり自信をなくしていた。もっとも、赤毛の人は蛮族だけとは限らない。リタラント国にもミーナと同じように赤毛の者はいた。ただ、珍しいだけのことだ。そうした人々は、おしなべて蛮族とからかわれるはめになった。

 おぞましい蛮族たちは、剣術にも槍術にも、馬術にも長けていた。なかでも特に武術に優れ、かつ、凶悪極まりない男がいた。その男は「赤髭」と呼ばれていた。

 戦果を上げ、報賞をもらうことだけを考えていた赤髭は、貴族の子息に狙いを定め、戦場を駆け回った。多くの若い貴族が戦場に命を散らした。そのうち、貴族たちは自分の息子を戦場に出すのを嫌がるようになった。それがリタラント国の武力の低下を招いた。リタラント国はあっという間に不利な状況に置かれた。

 そんな中、打倒赤髭を掲げて立ち上がった貴族たちがいた。それが、ビルング家の三人の息子、つまりイェルクの兄たちだった。ビルング家の長男は、領主マルクスの後を継いで次の領主となるはずだったが、自分より優秀な一歳年下の弟が後を継いだ方がいいと考え、戦場で赤髭に一騎打ちを申し込んだ。激しい戦いの結果、彼は命を落とした。二男は兄の思いを知らぬまま、赤髭に敵討ちを申し込み、やはり命を失った。まだ従騎士だった三男は、戦場で赤髭の姿を見かけるなり無謀にも斬りかかり、返り討ちにあった。

 息子たちを相次いで失ったマルクスは、激しい復讐心に駆られた。必ず敵を討ってやると、息子たちの墓前で誓いを立てた。彼はどうしても、自分の手で、あるいは自分の血を分けた息子の手で、赤髭にとどめを刺したいと考えた。しかし、既に四十を迎えていた妻カタリーナに、新たな子どもを望むのは難しかった。

 夫の気持ちを察したカタリーナは策を講じた。彼女には全幅の信頼を寄せる若いメイドがいた。そのメイドはカタリーナの親戚で、若い頃のカタリーナにとてもよく似ていた。カタリーナはメイドに高い報奨金を与え、自分の代わりに夫マルクスとの子どもを産むように依頼したのだ。この国では子どものいる夫婦は離婚することができなかった。かといって、妾を持てば、家の中で無用な争いを産むかもしれない。賢明なカタリーナは、貴族の妻として最良の決断をしたのだ。

 カタリーナは、正体をなくすほど強い酒をマルクスに飲ませ、メイドを若い頃のカタリーナと誤認させたまま、ことに及ばせた。翌日、カタリーナはマルクスにすべてを打ち明けた。マルクスは妻がそこまでして、夫の復讐をかなえようとしたことに深く感謝した。その後、メイドは妊娠し、内密のまま一人の男の子を出産した。

 しかし、ここで大きな問題が起こった。生まれた男の子は、緑色の目をしていたのだ。メイドは狼狽して、身の潔白を訴えた。そのとき、カタリーナはこう言ったそうだ。

「この子はマルクスとわたしの子です。間違いありません」

 あとで判明したことだが、メイドの身内に、西の国出身の緑の目をした男がいて、イェルクと名付けられた男の子は、その血を濃く受け継いだのだ。メイドは報奨金を持ってふるさとに帰り、そこで結婚して幸せに暮らしているという。

 マルクスは他の子どもたち以上に、イェルクに厳しく剣術を仕込んだ。イェルクは、生まれながらに復讐の使命を課せられた子どもだった。だがカタリーナは、他の子どもたちと同様に、イェルクに深い愛情と慈しみを注いだのだ。


「お兄さまは大きな使命を持って生まれてきたのね」

 幼いミーナはため息をついた。何のために生まれてきたのか、と、陰口を叩かれたこともあるミーナは、大きな使命を持って生まれてきたイェルクをうらやましいと思ったのだ。

「私は使命を持って生まれてきたことを、誇りに思っている。もし、コンラートの言うとおり、私に才能があるとしたら、それは人が……死んだ兄上達や、父上母上が与えてくれたものだ。私は自分の使命のためなら、命を投げ出しても惜しくないと思っている。それくらいの覚悟がないと、恐ろしい赤髭を倒すことはできないだろう。私はそのためだけに生きているのだ。どうかそれだけはわかってくれ」

「わかりました。お兄さま、頑張って……。どうか、使命を果たしてください」

 ミーナは愛する人を戦場に送り出す娘の気持ちになっていた。

「でも、お兄さま。もし、お兄さまが使命を果たしたら、そのときにはわたしを迎えに来てくれる?」 

 イェルクは驚いた表情をし、じっと考え込んだ後、優しく微笑んだ。

「わかった。そのときは迎えに行く。だから、いい子にして待っているんだ。さあ、もう帰るんだ。辺りが暗くなってきた。ミーナは暗いのが嫌いだったな。なにより、クラーラ様が心配しているはずだ」

 ミーナはうれしくて、こぼれるような笑みをうかべた。その頭を、イェルクは優しくなでた。


「お母さま、聞いて聞いて!」

 ミーナは家に帰るなり、クラーラの胸元に飛び込んだ。

「まあ、ミーナ。こんな遅くまで何をしているのかと思ったら」

 クラーラはミーナを優しく抱きしめた。

「イェルクお兄さまがね、将来、わたしと結婚してくれるって言うの! 修道院に迎えに来てくれるって言うの!」

「修道院? どういうこと……?」

 ミーナは完全に舞い上がっていて、クラーラの顔から血の気が引いたのに気づかなかった。

「ゲルトルート奥さまがね、この秋になったら、わたしを修道院にやるっておっしゃっているらしいの。でも大丈夫よ。いつかきっと、イェルクお兄さまが迎えに来てくれるから。それからまた、お母さまも一緒に暮らしましょう」

「いやよ!」

 クラーラは大声で叫ぶと、ミーナをきつく、きつく抱きしめた。

「ミーナ、あなたのことはどこにもやらない。貴族の娘のしきたりなど、どうでもいい。レオポルトさまにお願いするわ。どうか、ミーナをどこにもやらないでって! わたしが生きているうちは、いえ、たとえ死んだとしても、絶対にそんなことは許さない!」

「お母さま、お母さま、離して!」

 クラーラが巻き付けた腕があまりにも痛いので、ミーナはじたばたした。


 レオポルトはクラーラに、ミーナはずっとこの城に置いておく、と約束した。クラーラは心底ほっとした様子を見せた。ミーナはイェルクにそのことを伝えたかったが、恥ずかしさの余りイェルクに会うことははばかられた。

 秋になってイェルクはビルング家に帰った。今度は従騎士となり、数年後に待つ叙勲式に備えるためだった。ミーナはイェルクに別れの挨拶をすることができなかった。夏の終わりに、クラーラが胸を押さえながら倒れ、程なくして亡くなったからだ。

 ミーナは悲しくて、頭が割れそうなほど泣き叫んだ。しかし周りの大人は非情にも、ミーナを修道院行きの馬車にむりやり押し込んだ。そのときに、ミーナは大事な鞠を落としてしまった。ミーナは、口先ばかりで結局何もしてくれなかった、父レオポルトが憎いと思っていた。

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