第46話 正式
────デーヴィット王国へ帰宅した僕とルーナさんは、一番最初にお父様の居る玉座の間へとやって来た。
「お父様、ただいま戻りました」
「よく戻った……たった二日で戻ってくるとはかなり驚いたが、しっかりと他国への貢献をすることはできたのか?」
「はい、僕だけの力ではきっとこんなにも早く今回のお父様からの命を完了することはできなかったと思います……でも────ルーナさんと二人なら、これからどんなことでもできると思います」
「アラン様……!」
それから、少し間を空けてお父様が言った。
「……どうやら、他国へ赴きその問題を知ることで人を知り、その問題を解決することで王族としての力の証明し、そしてもう一つの重要なことをお前は学べたようだな」
もう一つの、重要なこと……前にお父様からその言葉を聞いた時は、何のことを言っているのかさっぱりわからなかったけど────今なら、その言葉の意味がわかる。
でも、それは学べたと言ってお父様に伝えることじゃない。
僕は、そのことをお父様に伝える前にルーナさんの方を一度見た────すると、ルーナさんは微笑みながら頷いてくれた。
それに合わせて僕も頷き、再度お父様の方へ向き直って言った。
「お父様────僕は、ルーナさんと恋人になりました」
僕がそう言うと、お父様は父としての優しい表情を僕に向けてくれながら言った。
「そうか……なら、父から言えることは一つだけだ────彼女のことを、幸せにしなさい」
「はい!アラン・デーヴィットの名に懸けて、絶対にルーナさんのことを幸せにします!」
そして、次にお父様はルーナさんに向けて言った。
「ルーナ・エルリエラくん、色々と不器用なところはあるが、アランのことをよろしく頼む」
「はい……アラン様のことを、この命ある限り支え続けさせていただきます」
その会話を最後に玉座の間を後にした僕とルーナさんは、一緒に廊下を歩きながら話す。
「私たち……これで、正式に恋人として認められたのですね」
この国の国王であるお父様に僕たちが恋人として認められたため、ルーナさんの言う通り僕たちはこれで正式に恋人として認められたということになる。
「はい……僕たちは、名実ともに恋人です」
僕が頷いてそう答えると、ルーナさんは嬉しそうにしながら微笑んだ。
そして、僕もそのことを嬉しく思いながら廊下を歩いていると、僕たちの手は自然に触れ合って────いつの間にか、僕たちは手を繋いでいた。
「アラン様の手、とても温かいです」
「ルーナさんの手も、とても温かいですよ」
その後、僕とルーナさんが幸せな気持ちで手を繋いで僕の部屋に入ってしばらくゆったりとした時間を過ごすと、次は一緒にご飯を食べることとなった。
「アラン様、私が恋人としてアラン様にご飯を食べさせて差し上げます!お口を開いてください!」
「わ、わかりました……でも、その……僕も!あとでルーナさんにご飯を食べさせてあげたいです……!」
僕がそう言うと、ルーナさんはとても優しく微笑んでくれて言った。
「はい、喜んで……では、アラン様────あ〜ん」
────僕たちは、互いにご飯を食べさせ合って、とても甘い時間を過ごした。
次に、僕とルーナさんは手を繋いで街を見て回っていた。
「……街を見て回っているというのに、ダメですね────アラン様のことしか頭に入って来ません」
「僕もそうです……ルーナさんのことしか頭に入って来ません────で、でも!ちゃんと街のことを考えるべき時は街のことを考えるので、大丈夫です!」
僕が一人で勝手にそう弁明すると、ルーナさんは僕と手を繋いでいない方の手を口元に当てて小さく笑って言った。
「ふふ、そうですね……でしたら今は、私のことだけを考えていてください」
「は、はい……!」
そうこうしているとうちに暗くなって来たので、僕とルーナさんは王城にある僕の部屋へと戻り────僕とルーナさんは、恋人として過ごす王城での初夜を迎えることとなった。
そして、ルーナさんは頬を赤く染めて、甘い声音で言った。
「アラン様、今から共に入浴……致しませんか?」
────そのルーナさんの表情や声は、明らかに今までとは雰囲気の違うものだった。
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