第13話 休日

それからしばらく卒業アルバムを広げながらボーっとしていたが、フと枕元のスマートフォンに目をやると8時になっているのに気づき、慌てて立ち上がってお風呂場へ向かった。


サっと熱いシャワーを浴びた後、脱いだパジャマと濡れたタオルを洗濯機に入れてスイッチを入れる。

洗濯機が動き出したのを確認しながら歯を磨いき、台所へ向かって朝食の準備をした。


いつもの休日の朝。


それなのに今日もまた夢のことが頭から離れない。

いや、夢というよりも自分の今朝感じた違和感が。


焼きあがったトーストに、マーガリンとマーマレードを塗って牛乳で流し込む。

まるで作業みたいに食べ終わったお皿とマグカップを洗い、洗濯機から取り出した洗濯物を、一人暮らしのマンションのベランダに淡々と干してゆく。


今日は天気も良く、ちぎれたいくつもの雲がのんびりと青空を漂っていた。


ベランダの手すりに寄りかかりながら、そんな風景をぼんやりと眺める。


あれは夢じゃなかった?


わたしの思い違い??


答えは出ないまま、気付くと目で追っていた雲がベランダの隣の部屋との仕切りの向こうに消えていった。



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