第4話 雨の朝

うっすらと目を開けるとカーテンの向こうは今日も雨のようだけど、そんな日でも隙間からは不思議と明るい光が差し込み今の私の部屋をまっすぐに横切っていた。

私は窓際にそっと近づくと、確かめるようにカーテンを開けた。


そうだ、香月澄とは高校2年のゴールデンウィークに近くの市立図書館で偶然会ったのがきっかけで話すようになったんだ。


その日は口べたな私がそんなに話せるワケもなく、当たり障りのないような会話で別れた。例えばここにはよく来るのかとか、本当に偶然だね、とか、今にして思えば図書館の文芸棚の近くで会ってるんだから、好きな作家や気になる作品についてとかいくらでも話せるようなものを、当時の私には出来なかった。

それでもゴールデンウィークが空けると朝のあいさつや移動教室の間とか、何かと話すようになったんだった。


話掛けてくれるのはいつだって香月君からで、そしていつだって彼は明るく話掛けてくれたんだった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る