尋問タイム・前編(中野視点)
中野柚希side
「私ね、好きな人できた」
そんな発言から早3ヶ月。……私は今、盛大に頭を悩ませている。
「キスしちゃったじゃないでしょ!!そんで?その後から拒否られ方が酷くなっただ?当たり前でしょ!自業自得にも程があるよ!マジで!馬鹿なの?ねぇ?バカなの?!」
「…そんなに言わなくても良くない?私だって止められなかったんだもん」
「止められなかったもんじゃないでしょ!そこをなんとか止めないでいつ止めるのさ!」
「今でしょ!……ごめんて」
とにかく!すごく馬鹿なことをしてるけど曲がりなりにもコイツは親友なわけであって、初めて恋したとなれば応援したいのは確か。でもねぇ……コイツの行動もさることながら、相手がかなり悪いんだよね……
好きな人を教えてもらった時、女の子である事にも驚いたけど、それ以上に、厄介な人を選んだなぁって思った。
通称、人形姫。人形のような容姿を表しているらしい。そして、表情があまり変わらない事もその名前の由来になっている。極めつけは恋愛面。
これまで告白して行った男は数え切れない程だ。そして、誰一人として成功しなかった。どんなイケメンだろうが、振っているのだ。
そしてここからは私個人の思ってること。多分偏見なんだけど……闇が深い気がするんだよね……何かを隠してるような…そして怯えているような気がする。
飴が欲しいなんて意味のわからないことを言って突撃して帰ってくると、人形姫は過去に女の子を好きになったことがあると言ったらしい。……いや、それ他の人に伝えるなって言われてるタイプの奴だよね?
でも、これで何となく彼女の背景がわかってきた。過去に同性愛関係で何かあったんだろう。
一筋縄じゃ行かなそーって思って面倒くさくなった。
そして、コイツが無理やりキスしてきたなんてほざいてる現在に至るわけなんだけど……
「正直手に負えないわ……」
「そこをなんとかーーーー!」
「第一、助けるって具体的に何するわけ?」
「ん〜……なんかいい感じでよろしく」
私は無言で踵を返してコイツの元から離れようとした。
「ちょちょちょ!マジでごめんて!でもほんとに何をどうしたらいいかわかんなくなっちゃったんだって!」
「はぁぁぁ、ならとりあえずその、キスした時の詳細を教えてくれる?」
キスをした時の状況。つまり、相手の反応やその後の対応なんかが知りたい。どれだけ怒っているのかすら分からない状態だから表情とか言動で何とか予想を立てるしかないからね。
「えっ///キ、キスの詳細…?しょ、しょうがないなぁ。えとね、壁に追い詰めた後に、腰を抱き寄せて〜キスをしたんだけどね?お互いの舌を絡めつつ、私の唾液を送って飲ませてみたり……あとは〜」
「ちょっっっと待って。マジでストップ」
「え?なんで?」
「とりあえず聞きたいことは何個かあるんだけどさ。キスって舌入れたの?」
「当たり前じゃん?」
頭が痛くなってきた……無理やり……それも舌を入れるようなキスをしただなんて……唾液を飲ませたりだ??
コイツは一体いつからそんなドSキャラになったんだ……嫌がる相手にそんな事してほくほく顔するとか…
「もうマジで面倒臭いから何も聞かないけどさ、私が聞きたいのは、相手のこと!表情言動その他もろもろ!どういう反応してたか!って事!わかった?!」
「は、はい!」
「で?どんな感じだった?相当嫌そうにしてたでしょ?」
「えっと、そんなこと無かったよ?なんか、満更でもなさそうだった気がする、抵抗も弱かったし。キス中は素直だったし。あ、あとした後の写真撮ったんだよねぇ」
「マジであんたなにしてんの……とりあえずその写真見して」
「これこれ〜、めっちゃエロいでしょ」
いや、エッロ。完全に事後じゃん。……じゃなくて!
そこまで嫌がったわけじゃない感じなのか……
「もういいや、本人に聞くのがいちばん早いよね。その写真送ってくれる?」
「えぇ……しょうがないな……」
さて、尋問タイムと行きますか!
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