SCP-0004-RYO 無音楽譜

オブジェクトクラス: Safe


特別収容プロトコル:

SCP-0004-RYOは標準的な収容ロッカーに保管されており、アクセスはレベル2以上の職員に限られる。SCP-0004-RYOの使用は、実験計画書に基づいて財団の倫理委員会の承認を得た場合にのみ許可される。実験中、SCP-0004-RYOを演奏する者(以下、「演奏者」と呼ぶ)は、心理的影響を受ける可能性があるため、事前に心理評価を受ける必要がある。演奏後、演奏者は必ず心理カウンセリングを受けるものとする。


説明:

SCP-0004-RYOは、スケッチブックに貼られた少し日焼けした楽譜であり、外見上は特に異常な点はない。楽譜は手書きで、19世紀の音楽スタイルを模しているが、どの楽器で演奏しても音が一切出ない特性を持つ。楽譜の内容は既存の音楽理論に基づいておらず、解読は不可能である。


SCP-0004-RYOを演奏した者は、演奏中に自らの内面に潜む最も深い恐怖や願望を「音楽」として感じることができるが、この「音楽」は他者には一切聞こえず、演奏者の内面的な体験に限定される。この現象は演奏者に強い感情的な反応を引き起こし、時にはトラウマや深い自己認識をもたらすことがある。


発見の経緯:

SCP-0004-RYOは、日本の[削除済み]市の公民館において発見された。発見時、地元の吹奏楽部のピアノ担当の学生が、練習中に公民館内のピアノの下で見つけたスケッチブックに含まれていたものである。学生がスケッチブックの中の楽譜を発見し、興味本位でピアノを弾いてみたが、音が一切出なかった。


この異常に驚いた学生は、さらに演奏を試みたが、結果は同様であった。演奏後、学生は突然うつむき、ぶつぶつと何かをつぶやき始めた。その後、公民館を出た学生は数日間学校に来なくなり、異常な行動を見せたため、友人や家族が心配し、当局に通報するに至った。


当局が調査を行った結果、異常現象の原因と考えられるスケッチブックが発見され、財団に引き渡された。財団の初期調査により、このスケッチブックが音が出ない特性を持ち、演奏者に心理的影響を与えることが確認された。その後、SCP-0004-RYOとして収容が決定された。


実験記録0004-RYO-A:


実験0004-RYO-A-01

被験者: D-1034 (27歳男性)

使用楽器: ピアノ

結果: D-1034は演奏中に無音であることに驚き、その後「幼少期の不安」と「未来への不安」が音楽として表現される感覚を経験した。演奏後、D-1034は深い自己反省に陥り、過去のトラウマについて語り始めた。


実験0004-RYO-A-05

被験者: D-2048 (35歳女性)

使用楽器: ヴァイオリン

結果: D-2048は無音の中で「希望」と「失望」の交錯する感情を体験した。演奏後、D-2048は幸福感と同時に失意を感じたと報告した。この感情的な混乱は数日間続いた。


追加メモ:

SCP-0004-RYOの起源は不明であり、発見当時の記録も存在しない。現在までに実施された実験の結果、SCP-0004-RYOがもたらす影響は一貫して個人的な感情体験に依存することが確認されている。今後の研究は、SCP-0004-RYOが演奏者に与える心理的影響のメカニズムの解明を目的とする。

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