第3話 Eクラスダンジョン

 自宅のベットで寝ころびながら今後について考える。


 まずは高校について。もうやめてもいいかなって。1週間近く無断で休んでるし。友人からのメッセージもガン無視である。


 正直この体の変化を誰かに打ち明ける気にはなれない。黙って探索者として生きていくのが賢明に思える。俺の力は相当なものだし。


 そうだ、少し俺の力の実験でもしてみようか。


 俺は一番最初の配下で進化したホブゴブリンを召喚する。


 ムキムキのゴブリンがベットの横で跪いている。なんてシュールな光景だろう。


「君にアインという名を与える。ほかの配下とか使ってもいいから家掃除してくれない?」


 そういうわけで一番最初の配下のこいつにはアインという名前を与えた。アインはうなずくと同時に数匹の配下を召喚して作業に取り掛かった。


 どうやらこいつ等、俺の記憶からある程度の知識を引き出しているようで、普通のゴブリンとは違って人間的な動きができるのである。


 引き出しているってのもなんか違うか。与えられてるっていうのが正しいかもしれない。ずるだよなぁこの力。最大限有効活用してやろう。


 小一時間もすれば、自宅は完璧にきれいな状態となった。ほこり一つみあたらない。まぁ、数いるしなぁ。


 掃除を担当したゴブリンたちは俺に一礼すると魔法陣の中に潜っていった。


 アインも最後に礼をして去っていった。


 家事とか全部まかせっきりにもできるんだよなぁ。見た目の問題で買い出しとかにはいかせられないけどもそれは宅配とかでなんとかなるしなぁ。


 もうすでに充実した生活を送れる下地は整ってるんだよな。でもやっぱ男ならもっと上を目指したいよな。今は男じゃないけど。


 じゃ、ダンジョン行くか。レベルも10を超えたし、Eクラスになれるはずだ。クラスを上げればそれだけむずかしいダンジョンに行くことができるようになるからさっさと協会でクラスを上げてこよう。


◇◇◇


 というわけでEクラスダンジョンにやってきましたぁ~。特に問題なくEクラスになったので速攻で来た。


 今来てるEクラスダンジョンは素材があまりとれない人気のないダンジョンだ。ここなら配下たちを見られずに攻略を進められる。金にはならないけど。


 特に俺の配下にする能力を使うと死体は消え去るっぽいからな。戦力増強にはなるけどまじで金にならん。


 ま、仕方ないね。割り切ってさっさと攻略に乗り出すとしよう。


 俺はゴブリンたちを全員召喚して、進軍命令を下す。総勢128体のゴブリンがこのEクラスダンジョンを進んでいった。


 じゃ、俺少し魔法の練習でもしてようかな。得に呪詛魔法。呪いには反動があるというのがファンタジーの基本だ。それについて知っておかなきゃ話にならない。


 なんとなく感覚でわかってはいるのだが、実際に使ってみないと知った内に入らない。


 呪詛魔法でダンジョン内の魔物に遠隔攻撃を仕掛けようとしたが、命あるものの反応がゴブリンしかなく、不発に終わった。


 あ、ここアンデッドしか出ないダンジョンだった。どうやら呪詛は不死なるものに効果はないらしい。まぁそれがわかっただけ収穫かな。


 せっかくだし暗黒魔法の練習でもしよう。


 いつか俺が強くなったら、きっとメディアに露見する日が出てくるだろう。その日に向けて何かかっこいい魔法を使ってみたい。『暗黒弾』はさすがに破壊力が高すぎるし、グロいので却下です。


 というわけで暗黒魔法研究の時間だ。と、思ったけど。配下のゴブリンが数体やられた。ボス相手に専行したやつらがやられたらしい。多分アインに行かせれば問題ないけど、一回俺が戦ってみよう。


 戦いの練習にちょうどいい。


 あ、ちなみにやられたゴブリンたちは24時間たてば復活します。この前配下になったやつが一回やられてて復活したときに挨拶で出てきたからな。時間的には24時間復活であってるはずだ。


 全力ダッシュでボス部屋に向かう。途中アンデッドと遭遇したが、そいつらはすでに俺の配下となっていた。


 さすが俺の配下たちだな。


 ボス部屋につくと、アインが扉のそばで待機していた。どうやら一緒に戦ってくれるつもりだったらしいが、俺はそのまま待機しているように命じた。


 ボス部屋の中に入ると、鈍く輝く剣を持ったスケルトンがたたずんでいた。


 剣、武器か。俺も何か武器ほしいな。そうだ、アニメとかでよく見る魔法で武器を作るやつ、やってみよう。


「『暗黒剣ダークセイバー』」


 暗黒を操り剣を作り出す。その剣を手に取って、俺はスケルトンと対峙する。


 俺が構えをとると、スケルトンも剣を構えた。


 ちなみに俺は剣なんて人生で初めて持つので張りぼての構えである。対してあっちは多分ガチ。


 俺が一歩踏み出したその瞬間にスケルトンは一気に距離を詰めてきた。


 しかしまぁ、あまり早くない。ステータス差が高いからか、止まって見えるほどである。


 剣士っぽいスケルトンには申し訳ないが、俺はステータスの利を活かして背後に回り込み背中を切らせていただいた。


 なんだっけ背中の傷はなんとやら? すまないが俺は剣士じゃないんでね!


 というわけで倒したスケルトンの剣士を配下に加える。


 こいつにはツヴァイと名をつけた。俺の剣術の先生にしよう。


 Eクラスダンジョン、攻略成功!

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