第2話 ちょっと戦ってみる?

 まずはステータスからしておかしい。成人男性の平均値が10くらいになるようになってるって協会から発表あったはずなんだけど。


 成人男性なんて比じゃないくらいのステータスありますけど??


 協会が発表した指針だとこれはBクラスにあたるレベルかな? レベル1のステータスとしては破格のものかもしれない。


 そしてスキルと種族な? 魔王て。スキルはまぁいいとして種族魔王て。


 とりあえずスキルの効果見てみよう。


 俺はステータスボードのスキルの欄をタップする。すると、スキルが拡大され、スキルの説明が出てきた。


【魔王】

・魔法関連のステータスの成長速度を超向上(×2)する。

・速度ステータスの成長を向上(×1.5)する。

・種族を魔王に固定し、魔王専用魔法(暗黒魔法、呪詛魔法)を使用可能にする。

・ダンジョン内において、罠にかからず、魔物による奇襲を受けない。

・あらゆる状態異常を無効化する。

・驚異的な再生力を得る。

・魂が滅ぼされない限り蘇る。

・自身のダンジョンを生成可能。また、そのダンジョン内にのみ存在することができる配下の魔物を生成可能。

・ダンジョンに侵入した際、そのダンジョン構造の支配権を得る。ダンジョンの壁の形を変更、魔物の湧き率を変更などが可能となる。

・自身、もしくは配下が倒した魔物を復活させ使役することができる。

・自身の配下となる魔物、人に対して全ステータス向上(×1.4)のバフを与える。


 長い長い。えーっと、魔力と速度が上がりやすくて? 特別な魔法が使えて? 罠も奇襲も状態異常も無効で?


 多いんだよなぁ項目が。てか自分用のダンジョン作れるんだ。でもこれ割と試すわけにもいかない能力だな。


 魔物の支配などもできるようで、まさに魔王といった感じの能力だ。


 配下にも大きなバフをかけるらしい。


 この力、使わないと損だよな。よし、決めたぞ。


「最強の軍団を作ろう!」


 そうと決まれば早速、初めての配下を作りに行こう。


 このダンジョンにはゴブリンと呼ばれるFクラスの雑魚魔物しか出てこないが、能力を試す相手にこれほどちょうどいいのはいないだろう。


 子供にも負けるような魔物だし。


 少し道を進んだところでゴブリンが現れた。せっかくだし魔法というのも試してみようかな。


 暗黒魔法と呪詛魔法だったか。まずは暗黒魔法を使ってみよう。


 なんというか、感覚で魔法の使い方に関してはわかるようになっていた。それを今試すときだ。


「『暗黒弾ダークバレット』」


 黒い弾丸を散弾銃のように飛ばす魔法だ。直撃したゴブリンは見るも無残なほどに砕け散った。


 で、これに能力を使うと。俺が倒したゴブリンに配下になるように念じると、ゴブリンが死んだ場所に魔法陣が現れる。


 魔法陣からゴブリンが生えてきた。そのゴブリンは出てくるなり、膝をついて俺に頭を下げた。


 成功だ。俺の新しい配下ができた。


 よし、こいつを戦わせてみよう。確か全ステータス1.4倍のバフがあるから普通のゴブリンよりは強いはず。


 配下のゴブリンを先行させてダンジョンの中を進む。


 すると、配下のゴブリンが敵のゴブリンを見つけたらしく、一目散に駆けていった。


 配下のゴブリンと敵のゴブリンの戦闘が始まる。


 結果からいうと、配下のゴブリンが無傷で勝利した。攻撃のキレが違うというか、1.4倍でもバフってのはすごいもんなんだと実感した。ちなみに倒された敵のゴブリンは配下になりました。


 こいつらがいれば俺がいなくてもゴブリンだけのダンジョンなんて攻略できるんじゃないだろうか。


 試してみるか。


「君たち。命令。このダンジョンを攻略すること。それと、倒した魔物は配下に加えること。じゃ、俺はステータス確認してるから」


 というわけで配下に攻略を任せて俺はステータスボードの前に立つ。


◆◆◆

名前:照内 幸樹

性別:女

年齢:17

種族:魔王


レベル:4

攻撃:1173

守備:1175

魔力:2063

知力:2099

精神:1578

速度:1782


スキル:【魔王】

◆◆◆


 結構ステータス上がったな。というか多分これレベル1ごとの上昇値100だよな? 破格じゃないか? 普通の人はもうちょっと低かったはずなんだけど。


 まぁラッキーだと思うことにしよう。この分だと割とすぐにSクラスになれるかもしれない。


 しばらくステータスを眺めていると、1時間もたつ頃にはだいたい15くらいまでレベルが上がった。


 そして、配下のゴブリンたちが戻ってきた。ゴブリンたちはある一匹を先頭として、全員が膝をつく。


「思ったよりも多いな。100体以上いるんじゃ」


 一番前のやつが気になったので少し眺めていると、レベルが上限に達しているらしいことが分かった。言葉にするのは難しいが感覚が俺にそう告げている。


 次いで、そのゴブリンは俺に進化の許可を求めているらしいことが分かった。


「よし、進化することを許可しよう!」


 すると目の前のゴブリンの体が輝き始める。めっちゃポ〇モンみたいな進化のしかたするじゃん?


 輝きが収まると、目の前にはマッチョマンなゴブリンが!


 ライ〇ップも驚きだぜ。この筋肉のつき方はよォ!


 おそらく進化した先はホブゴブリン。新たな戦力として活躍してくれることだろう。


 というかこの100匹以上の大群を外には連れ出せないよな。どうしよ。


 と思ってたら全員が魔法陣のようなものを出してその中に消えていった。あ、そんなこともできるんだね。


 用があるときだけこちらに呼び出すことができるっぽい。ベンリダナー。

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