配信事務所、経営するは魔王軍。

ニア・アルミナート

序章 そうだ、軍団を作ろう

第1話 魔王就任

 平日の午前6時頃。アラームの音で目を覚ます。今日も学校だ。さっさと弁当を作って制服に着替えようと上体を起こす。


 手で半開きの眼をこする。すると、少し違和感があった。自分と手を見ると、少し小さく見える。


 それに、心なしか白く、きめ細かな感じに見える。なんというか、女の子っぽい?


 急いで洗面台の鏡の元に向かう。


 そして、鏡をのぞきこむと、そこには金髪碧眼の美少女がいた。


「これが、俺?」


 まじかぁ……。なんで俺女の子になったんだ? しかもめっちゃかわいいし。正直タイプ。


 まぁ一つだけ心当たりがないわけじゃない。スキルの覚醒だな。


 数年前にダンジョンが現れたこの世界では、たまにスキルと呼ばれる超能力に覚醒する人がいる。


 その際、髪の色が変わったり、顔の造形がよくなったりということがあるという話は聞いたことがある。


 さすがに性別が変わったという話は聞いたことないけど。


 とりあえず後で探索者協会にいって診断してもらおう。


 スキルに覚醒していることが認められたらダンジョンに入ることが許される。そしたらダンジョン内にあるステータスボードでスキルの名称や能力を確認できる。


 まぁ、こうなった原因を探る唯一の希望? かな。


 とりあえず今日の学校はさぼろう! 制服もなければ女の子用の服すらない。このままいくわけにもいかないし。


 今日は、服を買ってそのあと探索者協会に行こう。よし! 決めた!


 ……と、息巻いて家を出ようとしたものの、そもそも着ることができる服がないことに気が付いた。


 男だった時に着てたやつ着たら普通に脱げちゃうからな。肩とかも見えるし。


 俺もともとガタイいいほうだったからこうも華奢になるとちょっとなぁ……。


 というわけで自分で少し採寸して、ネットでいい感じのやつを注文してみた。繋ぎにはなると思う。実際店で見たほうがいいのは確かだし。


 それまでは家で少しだらついてよう。家出れないし、しかたないよね~。


 でも家に引きこもってるだけでも宅配でなんとかなるからな。いい時代になったもんだぜ……。


 あ、ちなみに俺だいぶ貧乳なほうでした。まぁ、あっても困るんだろうけどね……。


 少し残念な気分。


 ◇◇◇


 頼んでいた服が来たので、それを着て外にでる。3日ぶりの日差し……。まぶしいぜ。


 金髪そのままだと目立つので、パーカーのフードをかぶる。パーカの下はミニスカである。これ、結構スースーするな……。


 なんでってミニスカって? ……安かったんだよ。


 まずパーカーで5000円くらいしたから繋ぎには高いと思って節約気味にしたんだよ。悪いか!?


 うーはっず。さっさと服見に行こう。俺が住んでる場所は少し都会だからか、人も多い。めちゃめちゃ足に視線を感じる。……他人事のようだが、きれいだもんなぁ俺の足。


 そんなこんなで女性服の店に来た。女性服は高いと聞き及んだのでたくさんお金を持ってきました。


 さて、お買い物していきたいと思います。


「何かお探しですか?」


「うひゃあ!?」


 店員さんに話しかけられた。完全に背後から。まったく気配を感じなかった。服屋の店員さんこわー……。


「お客様、こういった店に来るのは初めてですよね? 覚醒者さんみたいですし、すごく美形ですから、何着ても似合うとは思いますけど……。大人っぽい感じのコーディネート、考えましょうか?」


 なんかいろいろ見透かされている気分……。元男だってばれたりしないよね?


 あと、だんだん何言ってるかわからなくなってきたので、おまかせします、はい。


「わぁ、大学生っぽい」


「よくお似合いです」


 出た、お世辞的な奴。でも俺自身これは似合ってると思う。少し長めのワンピースと、なんか上に着るやつ。


 すごい、THE大学生って感じに見える。俺は今17なんだけど。


 まぁこの体が何歳相当なのかは知らないけどね。


「ほかにもいくつか見繕っていただけませんか……?」


「もちろんです!」


 もうわかんないからこの店員さんにお任せでいろいろ買うことにした。店員さんとは少し仲良くなったので連絡先を交換した。


 さて、これから覚醒チェックいくかぁ~。気が重いなぁ。


 大したことない職業だったらどうしよ。ただ性転換しただけとかいやだぞ俺。まぁまず覚醒してない可能性もありますけども。


 ◇◇◇


 というわけで探索者協会に来て覚醒検査を受けました。


 結果としてはちゃんと覚醒してたね。


 今から最寄りの超初心者用ダンジョンに自分のスキルを確かめに行こうとおもうよ。


 ちなみに写真撮ったりして探索者証も作りました。今日から立派なFクラス探索者だね!


 改札に探索者証をかざして最寄りのFクラスダンジョンに入ると、入り口のすぐ右にある液晶画面のようなものが目に入る。


 これがステータスボードだ。自分のステータスを確認できる。


 しかしダンジョン側も液晶技術を有しているとは恐れ入った。超画質いいもんね。


 そのステータスボードに触れて自身のステータスを確認する。


◆◆◆

名前:照内 幸樹

性別:女

年齢:17

種族:魔王


レベル:1

攻撃:873

守備:875

魔力:1463

知力:1499

精神:1278

速度:1332


スキル:【魔王】

◆◆◆


 なぁーんかおかしいなぁ!?

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