使うものがない

あらかじめ

　考えや認識を改めるしかない、か。

　乗せられてばかりじゃ降り方も決められやしない。

　叶えたい望みはある。

　だが選択肢が少ない。

　ないよりマシだなんて冷酷なことは言わない。

　なくても、少しだけあっても、そう簡単に生きていけないってことだけが過去にならない現在が憎い。

　ただ消えていくことがわかっていながら淡白（たんぱく）に日常を過ごすことに慣れてしまうより、もっと他に少しずつ積み重ねて行きたかった世界や道があるとしたら。

　この感覚やこの感情はどうなるのだろう。

　頭で考えすぎても限度がある。

　襲ってくる不安をただおおざっぱに待ち受けるだけの日々が嫌だったからこうして練習をしているのに！

　本番がきっと怖いのだ。

　前のように乗り越えられないと考えてしまうほどに。

　どうしたらよいのか悩んでは逃げ、向かっていく。

　それでも諦めるわけにはいかない。

　飲み込まれないように生きていくために。

　使える選択肢が既にないと思い込まないように。