第4話:管理人に見つかる・・・がクリアする。

学校へは灯華ちゃんと一緒に通うわけで、バラバラに通う理由もないし。

バラバラで行くってことになると灯華ちゃんが不機嫌になる。

付き合ってる者どうしが、なんで別行動しなきゃいけないのってことだな。


なことだから、二人一緒に浪漫荘を出ようとすると管理人の魔法使いみたいな

ばあさんに呼び止められるわな。


管理人さんがいる部屋は、浪漫荘の入り口のすぐ横。

映画館だったとき、チケット、鑑賞券を客に売ってた場所だからね。

誰かが出入りすると管理人さんに見つかる。


「あんた・・・ちょっと大西くん・・・誰?その子?」

「ここは女は連れこんじゃいけないんだけどね」


「ああ、管理人さん、これには深い訳が・・・」


「どんな訳があろうとダメなもんはダメなの?」


「おばあちゃん・・・私、翔太くんの彼女・・・れっきとした彼女。

私たち恋人同士なの・・・だから、遊びじゃないんだからいいよね」


「恋人だろうが遊びだろうがダメなもんダメ・・・それが決まりだから」

「あんたも学生なら校則守らなきゃ怒られるだろ?」


「じゃ〜しかたないね・・・私ね、京極下の稲荷神社のお稲荷さんなの」

「今はね、神社を抜け出して翔太くんの部屋でお世話になってるの」


「分かった?」


「お稲荷さん?・・・どう見たって女子高生じゃない」

「なに、寝ぼけたこと言ってんの・・・年寄りをからかうもんじゃないよ」

「まったく最近の若いのは年寄りをバカにして・・・」


「それじゃ〜こう言うのはどう?」

「おばあちゃん、ついこの間、お孫ちゃんの悪口言ってたでしょ?」


「なにそれ?」


「喜ぶのは小遣いや誕生日のプレゼントを買ってやった時だけだって?」

「普段は寄り付きもしないって愚痴こぼしてたよね」


「あんた、なんでそんなこと知ってんのよ」


「神社の前で手を合わせてた時、そんなこと言ってったもん」

「私、あの時まだ神社に居たんだよ」


「うそ・・・じゃ〜お稲荷さんって・・・ほんと?・・・あんた」


「ほんと、ほんと、ついでに言っといてあげるけど、私に冷たくしたら

棺桶への道のりが近くなるからね、おばあちゃん」


「わ、わ、分かったわよ・・・大西くんちだけ目をつぶるわ」

「ったく、キツネにつままれたみたいな話だよ」


「それを言うならお稲荷さんにつままれたって言わなきゃ」


なわけで、僕と灯華ちゃんとの同棲はばあさんを脅迫することでクリアした。

あ、説得だな。


第一関門突破。


でもって、ふたり手をつないでバスに乗って学校へ。

手をつなぐってのはもう普通になった。


灯華ちゃんの席は僕のすぐ横・・・だから授業中、彼女が居眠りしてる

のがよく分かる。

まあ、勉強するために学校に来てるわけじゃないからな。

って言うか、なんのためにわざわざ学校へ来てんだよ?


僕が学校に行ってる間、ヒマで退屈だからか?

それとも僕がクラスの女子の誰かと浮気しないか見張るためか?

他に女なんか作ったら不幸になるよって言われたしな・・。

後者かな?


それってやっぱり束縛だよな・・・僕に自由はないってことだろ?

まじ一方的じゃん。


もし浮気したら、電撃くわされるのかな?

あ〜いやあっちは雷娘だからな・・・じゃ〜灯華ちゃんは?

お稲荷さんの武器ってなんだ?

騙されるとか・・・あれはキツネか?・・・あ、記憶を消されるんだ。


なに、先走ってるんだよ僕・・・若干振り回されてるな灯華ちゃんに。


とぅ〜び〜こんて乳。

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