第2話:稲荷 灯華(いなり とうか)。

「で、どこに引っ越そうかなって思ってご近所徘徊してたら、あなたのところが

居心地よさそうだから引っ越してきちゃった」

「それに、あなた彼女が欲しいって言ってたし・・・」


「たしかに彼女が欲しいって言ってましたけど・・・え?」

「彼女って?・・・」


「だから、あなたとは今日から同棲だね」

「ってことで私もうあたなに取り憑いちゃってるから・・・逃げられないからね」


「逃げられないって?・・・取り憑くって・・・」

「それって、やっぱキツネでしょ?」

「女神様なんて言ってるけど、絶対キツネの妖怪だよね、君」


「キツネじゃないってば・・・しつこい!!」


「だって現にキツネの面被ってるじゃん」


「これは面じゃありません・・・私の正真正銘な顔です」


「うそ〜まじで?・・・メイクとかでもないの?」


「ビジュアル系バンドじゃないんだから、いちいちそんなことする訳ないでしょ」

「いい?キツネじゃないからね、一緒くたにしないでよ」


「で、私、あなたを見初めちゃったから神社には戻らないから」

「ここで暮らすね・・・」

「だから、私を敬って大事にしないと冷たくしたら不幸になるから・・・」


「まじでか?・・・いやいや」


「これも何かの縁だと思って・・・優しくしてね?」


「まあ女性には基本優しくしなきゃ〜がポリシーだから大事にしますけど」

「じゃ〜・・・さっそく油揚げ買って来なきゃですね」


「あのね、キツネじゃないって言ってるでしょう、分かんない人ね」

「ご飯だって・・普通に人と同じもの食べるから・・・」


僕の部屋にいた女の子は、嘘か誠かなんとお稲荷さんだって言うじゃないか。


でもって、お稲荷さんのことについて調べてみた。

そしたら、お稲荷さんはキツネじゃなくて、キツネは彼女、お稲荷さんの

使いなんだそうだ。

お稲荷さんは生活に密着した女神様。

稲作・農業だけでじゃなく衣食住、家内安全、商売繁盛、厄除など生活全般

にご利益をもたらしてくれるんだって。


でもっておまけにここが大事。

宇迦之御魂姫うかのみたまのひめって女神様は性を司る女神様でもあるそうだ。

さぞかしセックス経験豊かで詳しいんだろうな。

エッチい女神様じゃん。


つまり僕の家に住み着いたお稲荷さんだけど・・・座敷童じゃないけど、

大事にしてあげたら僕にも幸運が巡って来るかもしれないってことだよな。

でもって、あわよくばエッチさせてくれる可能性だってあるってことか?


まあキツネのメイクは別にして、メイクしてたってめちゃ可愛いし・・・。

一緒に暮らしてもいいかな。


でもお稲荷さんが野郎じゃなくてよかったよ・・・僕はBLに興味ないからな。


で次の日、僕が学校に登校したら・・・

授業の前に転校生がいるからって、担任から紹介された。


「え〜今日からうちの学校に転校してきた・・・え〜と名前が・・・


稲荷 灯華いなり とうかさん・・・みんな仲良くするように」


あ、それで女子高生の格好してたのか・・・準備のいいこった、うちの

お稲荷さんは・・・。

うちのって言っちゃったよ・・・でもうちのお稲荷さんだよな。


僕はこの子とお稲荷さんとこれから暮らすんだ?

教団の上に立ってるお稲荷さんを見て、感慨深く思う僕だった。


「で、なんで?名前が稲荷 灯華いなりとうかなんだ?」


次回につづく。

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