2.0話 はじめまして

森は向かっている途中に畑の横を通ると虫達の声と風に揺られた小麦の擦れる音が聞こえてあ心地よかった。

気づくと僕は森の入り口に立っていた。

「確かこの奥で何かが光ってたんだよな」

そして暗い森の中何がいるかも分からない森の中を足音を殺して歩いていくと、、、

「グルゥ、、」

なにかの生き物の鳴き声が耳を掠めた。

「なんだ?」

鳴き声の方向に足を運んで行くとそこには弱った小さなオオカミの魔獣が傷だらけで倒れていた。

「おい!大丈夫か!」

心配になり近づこうとすると、、、

「グルゥ!!」

鳴き声と共に右手に痛みが走った

「痛っ 怪我してんだから暴れるなよ!」

噛まれた手をそのままに頭を撫で落ち着かせる

少しすると申し訳なさそうに噛んでいた手を離し傷跡を舐めた

「落ち着いたか?」

言葉が分かるのか少し頷いた

「怪我が酷いから家で手当てしたいんだけどいいか?」

返答を待たずして魔獣は気を失った

「おい!しっかりしろよ!」

すぐに抱き抱えて急いで家に戻ると両親が起きてきた。

「リオス!こんな時間に外に行ったら危ないわよ!」

「ごめん母さんでもこの子が!」

魔獣を見せるとすぐにお湯と処置箱を持ってきてくれた。

「傷が酷いわね何があったのかしら?」

「森で倒れていたんだ」

「あの森には基本魔獣は出ないはずなんだがな」

応急処置を施すとそっと毛布に包んであげた

「リオスあんたが面倒みてあげなさい」

「一様魔獣だから何かあったら父さんにいいなさい」

そっと頷くと魔獣と一緒に自分の寝室へ戻った

魔獣は傷が痛むのか少し苦しそうで見ていて辛くなった。

「痛いだろうけど頑張れ」

ベットにそっと置き傷に当たらないようにそっと撫でた。

気づいたら僕もベットに倒れかかるように寝ていた。


また夢を見たあの時とは少し違う夢

(これはあの魔獣の夢なんだろうか?)

「母様!母様!」

必死に母を呼び掛ける子供の声

「逃げなさい!貴方だけでも!」

「嫌だよ一緒に行こうよ」

泣きながら呼び掛ける子供の声

「ごめんなさいね私はもう遠くへは行けないの」

子供を優しく抱く母の声

「だからこの愚かな母の最期のお願いを聞いてちょうだい」

優しい声で続く最期の言葉

「恨みに囚われないで幸せに生きなさいどんなに辛く苦しくてもその後きっと幸せが貴方を待っているから」

そう話していると後ろから声が聞こえた

「いたぞ!殺せ!」

追っ手らしき声が近づいて来た

「さぁ早く後ろを振り返らないで!」

母の魔獣は追っ手に噛みつき子供を逃がす

子供はどこに行けばいいのかも分からないまま遠くへただひたすらに走った。

気づいた時には追っ手も元いた森の影もなかった。

そして目の前にあった大きな木の根元で倒れた

その子は薄れゆく意識の中一言だけ呟いた

「寂しい」


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