俺の黒歴史

yama

 俺の黒歴史

 今日は俺の黒歴史を紹介しよう。俺は現在、大学3年生。22歳。関東にある大学に通っている。俺には絶対に今の友達にはバレたくない黒歴史が存在する。


 それは俺が19歳の頃。この頃、俺は浪人していた。その理由は高校3年生の頃、「今までの人生でこれを頑張った」と胸を張って言えることがないことに気づき、「それなら大学受験を頑張ろう」と思って勉強していたのだが、第一志望の大学に合格することができなかったからだ。不完全燃焼で終わることが嫌だったため、受験料は自分のバイト代で払うことを条件に両親に浪人を許可してもらった。


 浪人時代は最初の方は現役時代よりも勉強に集中できていた。分からなかったことが分かるようになるのが実感できていた。しかし、10月になるとそれが一変した。最初に飛ばしすぎたのがいけなかったのかもしれない。休む日を作らず、毎日12時間勉強していたのがいけなかったのかもしれない。一日だけ勉強を一切せずにYouTubeを見ながらダラダラする日を作ったら身体がその幸福を忘れることができず、次の日も、またその次の日もと勉強をしない日々が続いてしまった。


 そして、そんな生活が一ヶ月ほど経ったある日。両親への申し訳なさが出てきた。浪人という身分のない肩書きで勉強さえしなかったらただのニートと変わらないんじゃないか。そんな申し訳なさとは裏腹に勉強したくないという気持ちもあって葛藤していた。


 その時、俺は思いついてしまった。


「そうだ!有名ユーチューバーになって稼ごう」


と。


 身分のない自分に申し訳ないという気持ちがあったため、だったら有名ユーチューバーになってお金を稼ごうと考えた。YouTubeをやるにあたって俺は何も特技などがなかったため、変人キャラとしてネットのオモチャになる道を考えた。その頃、ちょうどキチガイキャラや炎上系キャラなどで売ってるユーチューバーの全盛期だった。しかし、俺はある程度の常識は弁えていた。キチガイキャラを演じるにしても絶対に家の中で完結できることにしようと考えた。


内容は以下のようなものだ。



『アンジャッシュ渡部さん、僕と結婚しませんか』というタイトルでひたすらキスするフリを壁に向かって一人でしている動画。


『香水を歌ってみた』というタイトルで香水を面白おかしく歌う動画。


などなど。



少し世間で話題になってる単語をいれて変なことすればバズるんじゃないかという安易な考えだ。さらにこれの一番気持ち悪いところは顔バレ防止のために母親のブラジャーを鼻まで被って投稿していたことだ。キチガイキャラとかを演じる場合、伸びなかった時に顔出しして投稿していることはリスクでしかないと思い、母親のブラジャーを被れば顔も隠せるしキチガイキャラのキャラ付けにもなるし一石二鳥だと考えたのだ。今になって思うと本当に気持ち悪いし今の大学の友達などにバレたら詰むくらいの黒歴史である。幸い、視聴回数は一番多い動画で200回とかだったし伸びる前に我に返って動画を非公開にし、受験勉強に戻ったから拡散されて詰むことはなかった。



 しかし、これの最悪な点は二つある。


 


 一つはこの動画が弟にバレてしまったこと。どういうわけかYouTube好きの弟がそんなに視聴回数も多くないはずなのに偶然見つけてしまった。家で撮った動画だったため、背景等ですぐに俺だと分かったらしい。母親には伝わらなかったが裏でネタにはされた。屈辱だった。


 そしてもう一つが高校時代の友達にバレたこと。YouTubeの視聴回数が伸びなかったためTwitterでとにかく宣伝しまくっていた。ハッシュタグで「#チャンネル登録返します」等をつけて宣伝していた。それを高校の友達と繋がっているアカウントで宣伝していたのだ。気づいた頃にはもう友達にバレていた。完全に俺が悪い。その友達は動画の画面録画をしていたため、今でも会う度にその動画を見せられ、いじられる。画面録画を消してほしいと切実に願っている。



 これが俺の黒歴史である。いかがだっただろうか。今の大学では真面目キャラで通ってるため、絶対に浪人時代の黒歴史動画配信はバレるわけにはいかないし、振り返ってみても本当に恥ずかしいくらいの黒歴史である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺の黒歴史 yama @yamu1222

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画