武知海青プロレスデビュー戦〜DDT

奈良原透

武知海青プロレスデビュー戦

2月25日、LDHの勢いを感じさせる日だった。


『HiGH&LOW THE 戦国』の千秋楽&ライブビューイング•ライブ配信(なんでもスペシャルアンコール付きらしい)、朗読劇の名作『芸人交換日記』も千秋楽、その他イベント諸々。


そんな中、私が向かったのは後楽園ホール。


THE RAMPAGE from EXILE TRIVEのパフォーマー武知海青のプロレスデビュー戦、DDTプロレス「Into The Fight 2024」である。


後楽園ホールに来たのは、昨年3月2日のDORAGONGATEの大会以来なので、ほぼ一年ぶり。


今回は久々のDDTだ。


今を去ること2〜30年前には、プロレス好きの仲間達と後楽園ホールやディファ有明なんかによく通っていた。


DDTの両国大会は枡席で見たな。


仲間達も成長し落ち着き、コロナ禍もあり、最近はご無沙汰気味だった。


当日、雨の中、後楽園へ。


後楽園ホールはやはり一階のエレベーターホールから興奮してくる。


あの古いビルの雰囲気がたまらない。


そして、エレベーターを降りるとガラス戸。


以前はここから入場できたが、今は右へ曲がりエレベーターの後ろ側に位置する物販の部屋をぐるっと通って入場する。


密を避けるという意味でも、動きやすいという意味でも快適にはなったが、昔の雑多な混雑も懐かしい。


あの狭いロビーに、飲食物を買おうとする売店前の列、男子トイレの列、物販の列、そして、談笑する人達、さらに、レスラーも普通に歩いていた。


人気レスラーは少なかったけれど、これから期待されている若手はよくロビーで物販の売込みをしており、“サインしてくれたら買います”と言うと“喜んでっ!”とサインに、握手、記念撮影を気さくにしてくれた。


密を避けるのが当たり前の今じゃ、考えられない光景かもしれない。

そして、会場に着くと、やはり女性が多い。


驚いたのは、武知海青選手のカードはメインイベントとなるので、最終試合なのだが、皆、マナー良くプロレス観戦をしていることである。


プロレスには選手の煽りや、手拍子、掛け声、技が決まった時の拍手など暗黙の仕来たりがあるのだけれど、周りのプロレス客に合わせて、見事に馴染んでいる。


これには、武知海青選手、いいファンに恵まれたなと思う。


フェスやイベントなどで、推し以外の出番は外に出て空席にしたり、パフォーマンスそっちのけでスマホをいじったり、喋り続けたりという人達を見かけ、後楽園ホールでそれをやられたら嫌だなと思っていたけれど杞憂だった。


初めてのプロレスで刺激が強かったと思うが、楽しんでいる熱気が伝わってきて嬉しくなった。


さて、長くプロレスを見ていると当時の選手が役員クラスになっていたり、新人さんがメインイベントを張るようになっていたりと年月を感じることが多い。


けれど今回、男色ディーノ選手、大鷲透選手、大石真翔選手、土井成樹選手ら、私が足繁く通っていた頃の人気選手が一堂に会しているとホッとするし、嬉しい。


特に大石真翔選手は、当時、ペアを組んでいた旭志織選手とのコンビのファンで、よく試合を見に行き、一度、確か新木場辺りの会場でプロレスを見た後、オールナイトで飲み会をするイベントに参加した折、ビールを注いでいただき、気さくに話し、記念撮影もしてもらった方なので、その勇姿を見て、とても懐かしかった。


また、セミファイナル DDT UNIVERSAL選手権試合MAO選手と町田光選手の試合の迫力も見事だった。


試合前のMAO選手のTHE RAMPAGEファンの女の子に本気のプロレスを見せてドン引かせてやるという言葉通りの殴り合い、そして、場外から客席を抜け、ロビーに至るまでの大乱闘。


場内、大盛り上がりで、選手が客席通路で殴り合いをしている時の近くの女の子達の圧倒された顔と試合後の興奮した騒めき•どよめきに、RAMPAGEファンにもしっかりとプロレスの面白さを植え付けたなと思った。


そして、メインイベント。


「武知海青デビュー戦~スペシャル6人タッグマッチ 30分一本勝負 上野勇希&勝俣瞬馬&武知海青対遠藤哲哉&岡谷英樹&正田壮史戦」である。


まずは入場であるが、この時の入場のからのコスチュームがカッコいいのなんの。


聖闘士星矢の聖衣クロスというか、闇堕ち牙狼の鎧というか。


マントとか、ガウンという言葉で片付けられる代物ではなかった。


言葉で説明しようとしたがいい表現が浮かばず、画像付き検索してみて、、、としか言えない。


特撮好き、少年漫画好き、ファンタジー好き、ロープレ好きの心を射抜くコスチュームだった。


このまま戦ってくれればいいのに、、、とヒーロー好きとしては思ったが、リングに上がると脱ぎ捨てる。


そして、驚いたのが、RAMPAGEの中ではがっしりとした体格なのに、上野、勝俣と並ぶと華奢でスリムに見えてしまう。


トップを張るプロレスラーってどんだけ身体が厚いんだよ、、、と改めて感心する。


筋肉もレスラー2人がゴツイのに対し、武知の筋肉はしなやかだ。


だが、試合が始まると見事な身体能力、特に跳躍力に驚かされる。


特に見事に決まったドロップキックは見事だった。


試合自体も結構ガチで、流石にRAMPAGEメンバーで場外乱闘はないだろうと思っていたが、しっかりと武知が場外に落とされ、リングに戻るのに苦労していたし、チョップの応酬の激しいこと。


これは、会場に居ないとなかなか伝わらないのだが、肉と肉がぶつかるバチーンという音は、結構、激しく、聞いていて痛い。


投げられるわ、叩かれるわで、途中から武知選手の上半身、特に胸から腹にかけてが真っ赤になっていたもんな。


正直、ここまでやるとは思っていなかった。


他選手がリングに上がっている時には、セコンドでついていた大石真翔選手とやり取りして、また、リングに戻っていき、立派なレスラーだった。


試合は上野、勝俣、武知の勝利で終わり、試合後のマイクパフォーマンスも爽やかだった。


今回のプロレスデビューのきっかけとなった関口メンディ主演の『覆面ティーチャーD』も教師がプロレスラーを目指すという破天荒なストーリーで面白かったのだが、そこから出演者の1人が本当にプロレスデビューをするとは思わなかった。


また、今回、プロレスも時代が進んだのね、、、と思ったのが、アプリで色々配信されていて、今回の試合も武知カメラといって、武知選手のみを追った番組の配信もあるらしい。


プロレスも時代に合わせて多様化していると感じいった。















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