指名入りました
『ハァ……ハァ……ハァッ、ハァッ――アッ!』
大音量で流れる男性の喘ぎ声。聴き取り難いこの音声はAVからではなく、鹿目から貰ったデータから流されているものだ。
「ちょっw
「これが噂の〝オ●電〟ってやつですか!? 闇深すぎでしょw」
同室の後輩達がゲラゲラと腹を抱えて笑っている。初めは
「それがうちの大学寮にかかってくるって噂の〝オ●電〟や。もしかしたら、女子寮にかかってくるのと同一人物かもしれんねんて」
「どういう事ですか!? 情報量が多すぎて笑い止まらないんですけど!!」
「ほんまそれな。俺も〝オ●電〟してくる奴の気持ちが分からんし、それで気持ち良くなれる気持ちも俺には分からん」
「でも、またかかってくるかもしれないんですよね? その時は誰が対応するんですか?」
「それは最初に電話に出た奴やろ……って、なんでこっち見んねん」
後輩達が期待の眼差しで見つめてくる。嫌な予感がした
「
「そうです、そうです! 大都会東京で汁男優にスカウトされるくらいの運をお持ちなんですから、きっと先輩が対応する事になりますよ!」
後輩達が大きな声で笑うのを見た
「部員が何人おると思ってんねん! 五十人以上はおんねんぞ!? この人数で〝オ●電〟取るって結構な確率やで!? そんなん言うてたら、ほんまに来るかもしらんやん! そういう運はたまに行くパチンコで使いたいわ!」
それを聞いた後輩達は顔を見合わせた。
「でも、そのまさかがあるかもしれないじゃないですか……ブフッw」
一人が吹き出すように発言したのを皮切りに、後輩達はゲラゲラと笑い始めた。
「あー、やめろやめろ! ほら、明日も早いんやから寝る準備せぇ!」
時刻は二十二時を回った頃だ。そろそろ静かにしないと主将に怒られるかもしれない――そう思っていた時、コンコンコンとノックが鳴り響いた。
「夜分遅くに失礼します。
隣の部屋で寝泊まりしている熊野の声がした。「なんや?」と
「
口の形を歪ませて肩を震わせている熊野の姿を見た瞬間、
「こんな時間に? 誰から?」
「今話題の人から電話が入ってまして……」
それを聞いた後輩達が顔を見合わせてざわめき始めた。「変な所でヒキ強すぎでしょwww」と笑った後輩をキッと睨み付けてやると、その後輩はすぐに正座して「すみませんでしたっ」と頭を下げてきた。
「なんで俺なん? 電話に出たんやったら、お前が対応してや」
「そ、それが――
熊野の言葉を聞いた瞬間、背後で後輩達が大きく吹き出すのが聞こえた。「なんで、指名やねん!! ここはキャバクラちゃうねんぞ!!」と
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