メンタル強強の変態VS主人
「お電話代わりました、
後輩達に好奇の眼差しを向けられているのか、背中がチクチクと痛む。渋々電話を代わった
『あっ、あっ! 君が
「はい、そうです! 僕に何か御用でしょうか?」
ハァハァとした男の息遣いが耳につき、全身に鳥肌が立ってしまった。鹿目が言った通り、同性の
相手の話を聞かずに早々に切ってしまおうか――そんな事を悩んでいたら、男が早口でペラペラと喋り始めた。
『この前の
な に が 下 半 身 の 興 奮 が 治 ら な く て 衝 動 的 に 電 話 し ちゃ っ た だ。 は っ 倒 す ぞ 、 こ の ド 変 態。
そう言いかけた
「なんですか、
「シーッ。ええから静かに聞いといて」
ハァッ、ハァッ……という男の吐息が受話器から大音量で流れてきた。しかも今は深夜帯に差し掛かる頃。廊下には人がいないのでかなり響いて聞こえる。
後輩達は笑いを堪えるのに必死になっているのか、顔が真っ赤になっていた。
「あのぅ……今、何をやってるんですか? ずっと、ハァハァッて息遣いが聞こえるんですが」
〝オ●電〟なのだからやる事は決まっている。
だが、
『あっ、あっ? 何を?』
「えっと……息苦しそうな声が聞こえてくるんで、心配になっちゃって。今、何をされてるんですか?」
「僕、頭が悪いんで言ってくれないと分からないんですぅ。だから、ちゃんと口に出して言って欲しいんですぅ」
あの国民的アニメに出ているタ●ちゃんのような裏声を出すと、後輩達は耐え切れずに「ブフォッwww」と吹き出していた。
普通の人なら揶揄われていると感じ、すぐに電話を切るだろう。しかし相手は普通の人ではなく、見知らぬ相手に〝オ●電〟をするような変態なのだ。メンタルも尋常じゃないくらいに強強だった。
『え〜?
「はい〜、めちゃくちゃ知りたいですぅ」
『分かったよぉ……。
特 別 っ て な ん だ 、 特 別 っ て。
関西人の血を引く
『今、僕ね……試合で見た君の肉体美を想像しながら自分のアレを握ってるんだ』
「何を握ってるの? 全然聞こえなかったから、もう一回言ってくれる?」
後輩達がまたもや吹き出す。「先輩、やめて下さいよwww」と笑っていたが、言ってしまった手前、引くに引けなくなってしまっていた。
『じ、自分のチ●コを……』
「自分のチ●コを? 電話が遠くてよく聞えないなぁ〜」
『チ、チ●コを握って……』
「握って? それからどうするの?」
どうやら興奮しているらしく、ハァハァハァハァ……という吐息が激しくなってきた。
後輩達は耐え切れず腹を抱えて爆笑した。数人の人間が何事かと覗いていたが、涙が出るくらいに笑い転げていた為、誰一人説明する事ができなかった。
『おっ!? おほぉぉっ……アァァァッ!!』
スピーカーから雄の声が大音量で聞こえてきた。声を聞くに激しく達してしまったのか、こればかりは
ちゃんと録音はできているとは思うが、最後の方は音割れしていそうな気がした。だが、証拠となる音声はバッチリ録れたと思ったので、
「お前の会話は全部録音してるんや! うちの大学の女子寮にも〝オ●電〟かけてるそうやないか!」
『えっ……ろ、録音?』
ここでようやく事の重大さに気付いたのか、男は動揺し始めた。どうやら快楽ばかり突き詰めていたせいで、今まで我を忘れていたらしい。
「お前、ええ加減にせぇよ! お前は気持ち良くてもこっちは気持ち悪いんじゃっ! しかも俺をオカズにして、チ●コ扱くとか趣味悪いねん! この音声記録持って、警察に被害届を――って……コイツ、切りよったわ」
ツー、ツー、という音が虚しく鳴り響いている。
「キモッ! こういう奴、マジで無理やわ!」
◇◇◇
それから後日。バレーボール部の鹿目に昨日撮った録音を聞かせると、「なんなの、これ〜!?」と涙を流してゲラゲラと笑っていたそうだ。
皆で話し合った結果、被害届は提出しなかった。
『◯◯大学のOBが、大学寮に迷惑電話をして逮捕!』なんてニュースが流れるのは、こちらとしても良い気分にならないという話になったからだ。
主人が実際に体験したものだから面白おかしく書いてしまったが、これだけは伝えておきたい。
〝オ●電〟は犯罪です。
さぁ、皆さんご一緒に!
〝オ●電〟は犯罪です!!
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