第4話 トレーニング

「ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ・・・カチッ」

「ふあ〜、よく寝た。」

そう言って僕は伸びをし、ベッドから降りて部屋のカーテンを開けた。すると朝日が部屋の隅々を照らし、まるで太陽が今日という1日の始まりを祝福しているようだった

「じゃあ今日も無事起きれたということで支度でもしますか」

そう言って着替た僕は自分の部屋を出て階段を降りリビングに向かう。ちなみにあの学園は私服登校OKだそうだが僕も葵も制服で登校している。さらに余談だが僕は寝起きがいい方だと思っている、昔は目覚まし時計のけたたましい音をいくら聞かせても起きず、揺すったりしても寝ぼけ眼で延々と「後・・・5分・・・」と言っていて親を相当困らせていたらしい。だが今では一人で起きられるようになった。僕すごい。まあ、そのことを両親から聞かされた葵が無理矢理起こしに来るようになったから朝に起きれるようになったんだが・・・。仕方ないだろ、葵を困らせたくないし、だらしないと思われたくないし、何より嫌われたくなかったんだから。

と、そんなくだらないことを考えながら朝食を食べ終わり、時計を見ると家を出るまで残り15分となっていた

「家を出るには早いし何しようかな、こんな時に趣味があったら時間潰せるんだろうけど、あいにくそう呼べるようなものは持ち合わせてないし、うーんどうしよ暇だな〜」

そうやって暇をどう潰そうか考えてた時、葵から言われたことを思い出した

「そういや暇があったらこれやっとけみたいなこと言われたな。やることもないしやってみますか」

そう言って僕は目を瞑り能力を発動する。僕の能力は東の方角を司っている四神獣である『青龍』、水を操り穢れを清める力を持つ。そうして能力を発動すると、尾てい骨あたりから透き通るような美しい青い鱗で覆われた長さ1メートルほどの尻尾が現れた。そうして僕は自分の中にあるマナに意識を向けた。マナとはこの世界で能力を発動するのに必要なエネルギーのことだ。人によって回復する速度も保有量も違い、激しく動けば動くほど消費は速くなりる。特殊な技を使うのにもマナは消費する。そんなマナを伸ばした掌に集まるよう意識する。すると、伸ばした手の先にバスケットボールほどの大きさの水の球が生成された。

「よし、ここまでは葵と特訓したお陰でなんとかなる、けど問題はその後・・・っ」

そう言って作り出した水の球の形を変えて武器を作り出した。作った武器は青龍刀、名前に青龍が入っていて気に入ったためこの武器をメインで使おうと思っている

「見た目はかっこいい刀、でも」

と言い近くにあった机に向かって思いっきり振り下ろした。すると

「パリーンッ」

「まあ、そうなるよな」

机に少し傷がついただけで、青龍刀の方が砕け散り光の粒子となってしまった。水の操作はある程度できるようになったが強度の方は脆く、少しぶつけただけでもこのように砕けてしまうため実践ではほとんど役に立たない

「葵からも課題として出されてたんだよな。まあ、回数重ねて硬くするしかないから、こればっかりはすぐになんとかできるようなものじゃないし、時間ができたら練習しますか」

そうしてしばらく生成した青龍刀同士をぶつけ合っていたら、家を出る時間になっていた

「時間もそろそろだし学校行くか」

そう言って能力を解除し家を出た。そして僕の家の前で待っていた葵と一緒に学校に向かって歩き出した。

「少し汗をかいてるようだけど何してたの」

と葵に聞かれたので、僕はさっきのことを自慢げに話した

「葵に出されてた課題の操作した水の強度アップのために、作った青龍刀同士をぶつけ合ってたからね、褒めてくれてもいいんだぞ」

それに対し葵は

「それで、練習の成果はどんな感じなの」

と僕の冗談を華麗にスルーしながらそんなことを聞いてきた

「15分ぐらいしかしてないんだぞ、それで変わってたら苦労しないよ」

「それもそうね、でも、変化を感じられなくても練習した分は確実に成長しているはずだからそのまま練習は続けなさいよ」

「言われなくても、いつか葵を超えてみせるから僕に負ける覚悟しとけよ」

「あら、あなたが私を倒そうなんて100年早いわよ、私もまだまだ強くなるんだから成長してるのは自分だけとは思わないことね」

「そんなの百も承知、それでもいつかお前を超えてやる」

「そう、ならその日を楽しみにしとくわ。精々頑張りなさい」

「おう!」

そう言って今までより一層努力しようと心に決めた。

僕が葵より強くなろうとしているのは葵でも勝てない敵が出てきた時に葵を守るため、だからこそ僕は葵より強くならないといけない。いや、葵だけではない、この世界の誰よりも強くならないといけない。そのためにまずは

「葵、水操作で作った武器の強度を強くするコツとかあったら教えてほしい」

実は葵の能力は僕と同じで青龍であるため葵から能力を使うコツを教わったりできる。神話系の生き物の能力は相当レアらしく僕と葵がどちらも青龍だったのはまさに奇跡と言える。

能力が違うと使い方がガラリと変わるため、僕は相当幸運らしい。

「コツ?そうね、コツはないけどアドバイスはしてあげる。水操作で作ったものの強度は自分の水を操る力の強さに比例して強くなる。だから、硬くするだけでなくより多くの水を、より細かく操作できるような練習をしても効果があるから、例えば・・・」

と言い葵は能力を発動し、水操作で掌の上にオルゴールを作り出した。しかもそのオルゴールから音が鳴り始めた

「♪〜♪〜〜」

「すげぇ」

「こんなこともできるようになる。」

そう言って葵はオルゴールを掌で吸収するようにしてその場から消した

「ちなみに、私は水操作でダイヤモンドより硬い武器を作れるわ。私より強くなりたいと言うのならこのくらいはできるようになりなさい」

「ああ、俄然やる気が出てきた。よし、帰ったら特訓だな」

「やる気を出すのはいいけど授業もちゃんと受けなさいよ」

「もちろん!」

そう言って僕はやる気を漲らせながら学校へ向かっていった。

学校であんなことが起きているとは知らずに・・・。

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