第3話 帰宅

入学式も終わり僕と葵は帰路を辿っていた

「葵、学園長が言っていたキングって実際はどれぐらい強かったんだろうな」

ふと、そんなことを思ったので隣を歩いている葵に聞いてみた

「そんなの見たこともないのに分かるわけないじゃない。・・・ただ、小学校と中学校のどちらの教科書にも載っていておとぎ話にもなっているけど、どれも規格外に強かったと書いてあるだけで明確化されてないってことは、文献などがほとんど残ってないってことでしょうね。もしくは本気を出したとこを見た人がいないから天井がわからないって考えることもできるけど、どっちにしてもその実力は未知数ね」

「じゃあ現代にキングが蘇ったとして、世界最強と呼ばれてる今の能力者達と同時に戦ったらどっちが勝つんだろうな」

と僕は続けて葵に聞いてみた

「わからないわよ、キングがどれほど強いのかわからないのもそうだけど、それと同じぐらい世界トップと言われてる能力者も底が見えない。でも確実に言えることは世界最強と呼ばれている人は全員、単身で国を滅ぼせる力を持っている、ということね。だからどちらが勝つのかなんてそれこそ実際にそんなことが起きない限り神でさえ想像ができないわよ。」

「神でさえ、ね。神の力持ってる人が言うと説得力が違うね〜」

と僕が軽い口調で応えると

「茶化さないの」

と怒られてしまった

「まあ、そんな戦いが起きたら間違いなく周りが更地になるでしょうから、絶対に起きてほしくないけど」

「それもそうだな、学園長が言っていたキング生存説が間違っていることを切に願うよ」

「・・・ええ、ほんとに」

そう言った葵の声はとても真剣で心の底からそうであってほしいと願う気持ちがひしひしと伝わってきたのだった



僕と葵の両親はどちらも海外で働いているため僕らは親の家で一人暮らしをしているような状態である。だが、よく葵が僕の家に夕食を作りにきたりするためあまり寂しくはない。ちなみに葵は完璧主義者のため葵の作る料理はそこらの店より断然美味しい。

そして、今日は葵が夕食を作りにこない日で葵曰く、「あなたが料理できなくなったら大変でしょ」とのことで定期的に僕が料理できるかを確かめているらしい

「ただいま〜」

そう言って僕は自分の家の扉を開けて家に入った。そして今日の夕食を何にしようかと考えながらリビングに入ってテレビをつけた

「次のニュースです。○○県○○市にある銀行が銀行強盗に襲われ・・・」

(銀行強盗か、家近いし心配だな、強い能力者なら簡単には捕まらないし物騒な世の中だな〜)

「また、警察は銀行強盗を犯罪集団である『壊崩軍』のメンバーであることも視野に入れている、とのことです」

「壊崩軍、か」

壊崩軍とはその名の通りこの社会を壊そうとしている者の集まりでこの国の至る所で犯罪を犯している。政府も対策を進めているがなかなか尻尾を掴めず頭を悩ませているらしい

「壊崩軍のことなんか考えても埒があかないし、夕食でも作りますか〜」

そう言って、僕は頭のいたれた犯罪者集団のことを頭の隅に追いやり、夕食を作り始めるのだった。ちなみに、今日の夕食は豚の生姜焼きでした

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