第13話 オトナの女でギャップ萌え?
夜、風呂に入ってから髪を乾かして、ファッションも雑誌でも読もうかと考えた咲姫は自分のお気に入りの本だけを集めた本棚のところへいきどの本を読もうかと吟味を始めるが机の上に置いてあったスマホから着信音が鳴る。
見ると一番の親友の名前がかかれていた。
「は〜い。もしもし〜?」
『こんばんは、咲姫。突然電話しちゃってごめんね』
「ううん!全然大丈夫だよ〜!綾ちゃんとお話しできるのは楽しいもん」
咲姫はスピーカーに切り替えベッド横の小さな机にスマホを置くと自分はベッドに腰をかける。
「それで今日はどうしたの?」
大方湊のことだろうなと思いつつ、咲姫は綾乃に聞く。
すると申し訳無さそうな声が返ってきた。
『うぅ……今日も相談してもいい、かな?』
「いいよ〜!恋バナしよ〜!」
『ごめんね……最近同じ話ばっかりで嫌だよね……?』
「え?そんなことないよ?」
咲姫からすれば頼ってくれるのは嬉しいし一番大事な親友の大好物な恋愛を一番近くで見れるという特権もあるので別に相談が嫌だと思ったことは一度もない。
綾乃は第三者の意見が聞ける、咲姫は綾乃と恋バナができる。
お互いにwin-winの関係であって何も問題などないのだ。
「綾ちゃんと恋バナなんて最高に楽しいじゃん!善意だけじゃないから安心してね」
綾乃はこういうときにただ善意で手伝っていると言うよりこちらも利益があるから大丈夫、という伝え方をしたほうが安心することを咲姫は知っている。
親友の善意なんだから
『咲姫……ありがとう……』
「うんうん。それで今日何かあった?」
『それが……』
綾乃の口から語られるのは今日湊を話し合いの場に連れて行って生徒会長らしくカッコいい姿を見せたかったこと。
それがあっさり先生によってバレてしまったこと。
そして湊にその後やんわりたしなめられたことだった。
(なんで日和くんを連れて行くんだろうって思ってたけどそういうことだったのかぁ……)
それで綾乃が湊を連れて行った理由も、そのあと帰ってきて綾乃が少し落ち込んでいるように見えたのも合点がいった。
「どうしてやろうと思ったの?」
『だって湊くんって私より一つ年下のはずなのに私より大人っぽいし落ち着いてるし……頼りがいあるし……たまには私がお姉さんだぞってところをみせたかったんだもん……』
年上に見られ何かと頼りにされる綾乃だがその内面は誰よりも年相応の少女であることを咲姫は知っている。
湊が相手ならそう感じてしまうのも無理ないと思ってしまう。
「……あえて妹枠を狙ってみるとか?」
『なんのあえて?それに私はお姉ちゃんなの……!』
(なんでお姉ちゃんにこだわるんだろう?まあそんな綾ちゃんも可愛いけど)
多分何か理由があるんだろうけどそこまでは聞かない。
それより綾乃に有益なアドバイスをしてあげるほうが優先だった。
『ギャップ萌えって言うのがあるんでしょ?私がオトナの女だっていうのを見せてドキドキさせるの』
「ギャップ萌えはいいけど……それ綾ちゃん普段日和くんにどんな態度取ってるの?」
ギャップ萌えは普段の姿とは違う意外な一面を見たときに起こるもの。
オトナの女がギャップということは綾乃は湊にどんな対応をしているのか気になるというもの。
『あ、いや……それは……』
「えっ!なになに?完全に心を開ききった野良猫みたいにニャンニャンゴロゴロしてるの?」
『そ、そこまではしてないよ!?』
「そこまでは……ということはたまに甘えたりとかはしてるってことかな?」
『あっ……』
抜けているというかなんというか。
よくこれで隠せているなと呆れを通り越して微笑ましくなってしまう。
しかも本人が隠せていると思ってるのがさらに微笑ましさを加速させている。
「まあいいんじゃないかな?綾ちゃんってみんなの前だとすっごくカッコいいし女の子にも大人気だもんね」
『後半部分もすごく気になるけど……普段の私はカッコよくないってこと?』
「うん。素の綾ちゃんはすっごく可愛いよ」
『はぁ……なにそれ……』
「一人で2人分の魅力を持ってていいよねっ!綾ちゃんが大人気になるのも必然だよっ!」
何も意識しなくてもギャップ萌えだと思うが湊に対してだけはちょっとというか大分乙女なので意識してカッコよくなるのもいいかもしれない。
嫌われることはないだろうしものは試しだ。
「取り敢えずギャップ萌え試してみよっ!」
『うん……!私頑張ってオトナの女になる……!』
「う、うん!頑張ろーね!」
なんだか空回りしそうな一抹の不安を覚えたが咲姫は親友を鼓舞するのだった──
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます