第34話 対抗戦
ログインすれば、
『今日対抗戦の資料配布します。洋館来てください。』
クラン全体チャットにこんな文言が書かれている。
セーブは最近クラン内の自室でしかしていないので広間にすぐ行ける。
特に用事もないので殺風景な部屋から出て向かう。
ちょうどグロウィスもいるので話しかける。
「対抗戦って何?」
「おお。対抗戦はあれよ。クラン同士が戦うやつ。定期的にやってるんだけど今回うちは出るっぽい。いつもスルーしてんのに。」
「この紙か。えーと?」
クラン対抗戦のお知らせ
種目:タイムアタックレイド
参加可能人数:30人まで
賞品:300,000,000ガリン
三億!?
「三億ガリンっていつもより多めなんだよな。だからなのかもしれねぇ。」
「なるほどね~。これ出たらもらえるんだよね?」
「もちろん。山分けでも1000万だからな。俺も出るわ。」
「装備強化しなきゃな。STR+65ってここじゃどんな感じ?」
「高いけどトップクラスじゃないって感じだな。俺のやつも70あるぞ。スキルとかなんもないけど。」
「そうか。まだポテンシャルあるのかな。」
「それ作ったNPCに聞けば?意外と会話が大事なんだよな。」
「そうする。ついでに紋章付きの装備取ってくるわ。」
「おお!後で見せろよ?」
「うん。じゃ、行ってくる。」
☆☆☆
エーデラントに着いた。
「ジーナー。居るよね?」
「おおコルク野郎。出来てるぞ、ちょっと待ってろ。」
すぐさま出てきたジーナが持っていたのはノースリーブのローブ的なものだ。
無地の陣羽織の丈を長くしてフードをつけたものといえばいいだろうか。
黒とグレーの布の継ぎ接ぎでイメージ通りだ。
そして背中にはクランのマークが入っている。
「ありがとうジーナ。あともう一つ頼みたいことがあって……」
ジーナに対抗戦とそのために装備の強化をしたい旨を話す。
「ああ!そんぐらいならすぐだ。もともとそいつにはリミッターがかけてあるからな。ちょっと貸せ。」
ずっと腰から下げている衝牙を差し出す。
「ああ。ちょうどいいタイミングだったな。これなら少しは上げてやれる。お前らの言う数字で言うと大体20ぐらいだ。これからもこいつと経験を積んだらここに来い。こいつ自身が見劣りしないようにしてやる。」
熟練度システムがあるのかこれ。
「なるほどなぁ。ありがとうジーナ。」
「おう。またな。」
ジーナ作のローブを着る。
肩アーマーに接触もしないし動きやすい。
当たり判定がリアルにあるので装備の干渉も伝わってくる。
幽冥のローブ
ジーナが作ったローブ。動きやすいよう袖はなく、継ぎ接ぎが特徴。
端切れから作られており、戦闘中一度だけ死の淵からよみがることができる。
幽冥のローブがあれば対抗戦には問題なく出られるし、装備も強化できた。
足手まといにならないようにはしたいな。
次はスキル類をそろえよう。
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