第33話 入団

光に包まれ、僕のHPは0になった。

だが、リスポーンしていない。


「ん?なんでだ?」

「ここは決闘結界が常に張られているんだ。プレイヤーキルが起きた時、即座にHPが全回復してキルがなかったことになる結界だ。その効果だな。」

「なるほど。だから強気に出れたんですね。」


そしてそれのせいで血の気が多くなってしまったと。


「ひとまず、うちに入るのか?」

「はい。グロウィスもいるし。」

「よし。じゃあアイテムを渡すぞ。」


そう言って手渡されたのはクラン紋章(リバース・スター)という名前のアイテム。

下を向いた五芒星に落下しているようなポーズの女性が書かれている。


「それを胸のあたりに近づければクランの機能が解禁される。」


言われた通り近づけると、光の粒子になって消えてしまった。


「ウィンドウに変化が起きてるはずだ。」

「ほんとだ。機能が増えてる。」


掲示板にランキング、チャット、検索機能、さらにはオークションまで。


「じゃあ、これからコルクラニア君はリバース・スターの一員として動ける。部屋は適当な空き部屋を探してくれ。」

「わかりました。ありがとうございます。」


「なあグロウィス、部屋って何?」

「んあ?そこの館の部屋を自分の部屋にできんのさ。ベッドがあるからセーブもできる。家具やらアイテムやらをいくらでも置いていいみたいな感じ。詳しいことは部屋に入ったらウィンドウが出てくるからそっち見て。」

「そうか。ありがとね。」

「じゃ、これからは同じクランのメンバーとしてよろしく!」

「うん。よろしく。」

「あ、クランとして活動する時用になんか紋章の入った装備品持っとくといいぞ!」

「わかった。なんか作っとくよ。」


☆☆☆


「で、なんかない?」

「はあ?ここは鍛冶屋なんだが?」


館の中にあったワープ装置でエーデラントに来た。


「なんかそういう知り合いいないの?」

「いない。が、俺でもそんぐらいはできる。」

「ほんと凄いなジーナ。何もんだよ。」

「はいはい。じゃあいい感じに作っとくからちょっと待ってろ。デザインの希望はあるか?」

「継ぎ接ぎがいい。なんかカッコいいから。あと背中にこの紋章付けて。」

「お、クランに入ったんだな。よし、二日三日したら来い。じゃあな。」


ジーナに仕事の依頼をしたので、僕は王都に戻る。

クランの館内のワープ部屋から出れば、でっかいとんがり帽子をかぶった女性がいた。


「さっきの戦い、見てたよ!魔法も使えるんでしょ?はいこれ、私のお古だけど強いからあげる!」

「あ、ありがとうございます、えーと……」

「クイードね。じゃ、これからよろしく!」


行ってしまった。

貰った杖は今使っているエーデラントで買った白樺の杖よりも長い。

大体30センチちょっとだろうか。


林檎の杖

とある林檎の木から作られた杖。

装備時INT1.5倍


ぶっ壊れじゃないか!白樺の杖も当時高くて買えなかった杖もINTが上がる効果はなかった。なんだこの杖!?

早速解禁された掲示板や検索機能を使って調べてみるが、林檎やイチジクの木を使ったものはINTが上がる効果が付くかもしれないらしい。


「知恵の木の実だからか……にしてもこの上昇はおかしい。あっても他は2とか3とかのプラスだぞ?なんでこれだけ倍率なんだ?」


まあいいか。これを作った人かこの元の木がすごいんだろう。




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