第28話 嵐の荒野

嵐の荒野、その名の通り常に強風に見舞われている。

乾いた土が風に舞い、砂嵐のようにもなっている。

モンスターはサバンナの動物がモチーフになっていて、キリン、ライオン、ガゼル、ゾウその他たくさんのモンスターが出る。

種類数だけなら全エリアの中で一番かもしれない。

ある程度大型だからモンスターにしやすいんだろうな。

ちなみにここのボスはいなくて、モンスターの複合チームと戦うことになる。

単純な数の暴力で攻めて来たり、普通のものよりも頭がよくなっているらしく、それを使った連携などでかなり難しいみたいだ。

あとはほぼすべてのモンスターが素材になる。

革はもちろん、ライオンだったらたてがみなどが魔法の杖や魔法道具の素材として、サイやゾウは角と牙がかなりいい武器の素材になる。

ただいい素材が取れるモンスターは基本的に強いので乱獲はできない。

そういうプレイヤーはボス的位置の複合チームに邪魔もされるらしい。

なかなかに面白いフィールドだ。

ただ、


「なんで狙われてるんだろうな……」


ドドドドドドドドドといった感じで後ろからモンスターの大群が押し寄せてくる。

ゾウを一体殺したタイミングで周りのモンスターが一斉にこちらを見て、追いかけられ始めた。

杖をインベントリから取り出す。

空間圧縮で自分が逃げる速度を上げる。

空間接続で群れの後ろに回ってすかすのもありだと思う。

ただ空間接続がうまくいかず前から迫ってきた場合逃げるのがめんどくさくなる。

なので空間圧縮でひたすら前に出る。


「空間圧縮、空間圧縮、空間圧縮、空間圧縮。」


あっという間に離れて簡単には追いつけないぐらいにはなった。


「なんか腹立つな。」


畜生のくせにわざわざ人に逃げさせるのはよくないよね。


「衝牙。」


衝撃波を準備。


「執行場。」


スキルをそれなりに広い範囲で発動する。


「空間接続。」


群れの大体の長さに合わせて、少し上のところを僕の目の前の空間と繋げる。

こうしてる間にもどんどん衝牙に魔力をためていく。

そうすればかなりの速度で群れが近づいてくる。


「毒染め。」


ダメ押しで毒も乗せる。


「3秒……2秒……1秒……今!」


一歩前に踏み出し群れの真上に回る。

高いところから一気に剣を振り下ろす。

地面は衝撃によって砕け、今の僕のSTRにバフが乗ってMPもかなりつぎ込んだ攻撃は群れの大半を空中に吹き飛ばした。


「回転切り!」


周りのやつは回転切りで処理するが、遠めな奴はどうしても攻撃が間に合わない。

これ魔法で何とかできないかな。


「空間圧縮、そして、斬る!」


絶対にリーチ外の敵に斬撃が届いた。


『スキル:飛空斬を習得しました。』


ここにきて新スキルだ。

ウィンドウを見てる暇はないので早速使う。


「飛空斬!」


横に振りぬけば、三日月形のエフェクトが前に飛んでいき、遠くの敵を数体巻き込み切断した。

このスキル、飛ぶ斬撃のスキルだ。


「飛空斬!飛空斬!」


新スキルを活用してバサバサとなぎ倒していけば、追いかけてきていた群れはいなくなり、ずいぶんと見晴らしがよくなった。

素材も切ってしまったものがあるけど、結構な量が生き残ってくれた。

全部拾ってMP回復アイテムを使う。

これからはMPに振っていってもいいかもな。

結構奥の方まで来ていたので、少し歩けば怨嗟の墓地との境目に来た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る