第20話 なんか炎上してた

「お、おい瑞樹!」

「どうしたのそんな慌てて。」

「これ!このプレイヤーネームお前だろ?」

「そうだね。カルト宗教ぶん殴ったときじゃん。それが?」

「なんで他人事なんだよ!今SNSで炎上してんだよ!」


返信欄を見ると、僕があいつらを殺したあとそのままの態度で去ったことに対して、「人間の心がない」とか「現実でも人殺しそう」とか言ってるらしい。

ただ、中には擁護する意見もあるようで、「こいつがやってくれたからミスティックの封鎖が解除された」とか言われてる。他の門も人引いたのか。


「ふーん。現実に害がなかったら別にいいよ。あっちじゃ喧嘩なんて江戸並みにあるでしょ?」

「お前がそのスタンスなら否定はしないけどよぉ……」


☆☆☆


ミスティックの宿屋から出たら、凄い人だかり。

全員プレイヤーだな。


「インタビュー?サイン?写真?どれかな?」

「ふざけるなよ!人を殺しておいて!」


そうだそうだと声が上がる。


「なに?散策したいから退いてほしいんだけど。」

「いや、お前は危険だ。この街から出て行ってもらう!」

「なんだよ。カルトの仲間なら紫のローブ着てきなよおっさん。」

「あんな奴らの仲間なわけないだろう!」


あんな奴ら、ねぇ……


「僕があいつらを退かしたからあなた方はここまで来れてるんでしょ?感謝されることはあってもこんなことされる筋合いないよ。それにお前が何の権利持ってるんだ、って話だし。」

「ぐ、ぐぅ……」

「そんなに嫌なら後ろの槍抜けば?」


固まっている群衆を手で退かしながら中心に向かって進む。


『クエスト:解真教を打倒せよが開始されます。』


お、クエスト生えた。


クエスト:解真教を打倒せよ

めっちゃ個人的なあれで申し訳ないんですけど、ミスティックの街救ってください。手段は問わないんで、占拠されてる大聖堂解放してもらって、解真教を街から追い出してもらえばクエスト達成ってことにします。よろしくお願いします。女神より。

目標:大聖堂の解放、ミスティック内の解真教教徒の追放。

報酬:女神の加護、ジョブ:執行者、称号:解放者


ん?ん!?ん!!??

なにこれ。てかこの文面女神さまが作ってたんだね。っていやいや。

なんか処刑人の上位ジョブみたいなの見えてるし。なに称号って。

加護も気になる。

攻略するしかないね!


「じゃ、人を集めますか!」


くるっとターン。


「おーい!」


僕を囲んでいた群衆にクエストの件を伝える。

すぐについてくることはなかったが、何人かは悩んでそうだった。

じゃあ、次はネットだな。

クエストのウィンドウを開いて、名前のところだけをスクリーンショット。

端末に保存して、宿屋に戻ってログアウト。

パソコンを開き、日本で一番ユーザー数の多いSNSのアカウントを作る。


コルクラニア

@corkpavia_0427


more anotherのミスティックの街でクエストが出たので報告です。

今、ミスティックは解真教という宗教に占拠されているらしいんですが、その宗教の教徒を倒して少ししてから発生しました。

興味のある方はミスティックかエーデラントにいる僕のところに来てくれると助かります。


写真:発生したクエストウィンドウ


投稿完了したのですぐさままたログイン。

炎上中だし、アンチも来るだろうが一部の新要素ほしい人たちはこぞって僕のもとに来るだろう。来るよね?来るといいなぁ……

これからあるだろう戦闘に備えてレベル上げと、武器の強化をお願いしよう。

転移できる施設とやらをを使ってみよう。

マップで探し、荒らされていて誰もいない建物に入り、二つのうち光っている方の魔方陣的なものの上に乗る。

数回しか味わったことのないリスポーンのそれとは少し違う感触に戸惑いながら、視界は光に包まれた。


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