第19話 カルト宗教を殴ろう

クソ蛇を倒してしばらく歩けばエリアを抜けることができ、エーデラントの次の街、ミスティックに着いた。

だがなんか人だかりができてる。

門の前に紫色のローブの集団、そしてそれを囲むようにして見ている人たち。群衆の中にはプレイヤーもいる。


「この街は解真教が忌まわしき女神から解放した。この地は我らが教祖様の教えにしたがう者のみが足を踏み入れることができる。」

「はぁ!?侵略者が何言ってんだよ!」

「そうだ!わけのわからないこと言ってんじゃねぇぞ!」


なんか宗教……それもカルト系が街を占拠したらしい。

勇者教は何してるんですかね?

とりあえず入ろう。


「こんにちわ。入ってもいい?」

「おお!賢明な判断だ!では……」

「いや、カルト宗教に興味はないから。そこ退いて?」

「……?」

「君らじゃなくてミスティックに興味があるの。入りたいから退いて?」

「……ん?それはどういうことだ?」

「だから退いてって。もういいや入るね。」

「待て。」


装飾がついている紫ローブがそう言うと、目の前に屈強な戦士が2人出てきた。


「そこから先は解真教の地だ。俗な人間が入るような場所ではない。無理やりにでも通るのだったら……わかるな?」


そう言って脅してくる紫ローブ。

答えはもちろん。






「あっそ。お邪魔しまーす。」






僕が一歩踏み出した瞬間、


「かかれぇぇ!」


戦士が斧を振りかぶって襲い掛かってきた。


「空間接続。」


右側の戦士の頭の上に繋げて移動する。


「衝牙、兜割り!」


クリティカル判定とともに少し地面に沈む戦士。

一撃KOで左側へと僕は向かう。


「空間圧縮、空間圧縮」


ちょうど「く」の字のように空間圧縮を使いもう一人の戦士の後ろに回った。


「貫通突き!」


背中の腎臓あたりを刺せば、動きが急に止まった。

引き抜けば赤い光の粒子が流れ出している。


「やば。殺しちゃったかも。」

「な、な、なんということをするんだ!」


装飾ローブがうろたえた様子で言う。その取り巻き的なローブたちも怯えている。


「まあ1人やったから2人目も変わんないでしょ。よっと。」


さっきからわけのわからないことを言った装飾ローブを殺して、


「こうなりたくなかったらローブ捨ててさっさとまっとうに生きること。OK?」


まだざわざわしているので、


「5、4、3、2、1。」


カウントダウンすれば、大半は急いでローブを脱いだ。

脱いだのはほぼ若者で、まだ着ているのはそこそこ歳が行ってそうな人ばかり。


「0。じゃあ殺すね。1人目~2人目~」


どんどん殺していけば、すでに脱いでいた若者は逃げるか腰を抜かすか失神するか、まだ着ている連中もはったりじゃないと気づき、脱いでいく。


「はーい全員完了だね。じゃ、通ってもいいよ~。ついでにそこらにいる人に知り合いがいたら連れて帰ってね。」


そう言いながら僕は街にどんどん入っていく。


「ま、待て人殺し!」


なんか霧が多いとは聞いたが紫がかっているのがはっきり言って気味が悪い。


「待てよ!そこのピンク野郎!」


ピンク野郎……僕のことか。


「呼んだ?」

「呼んだもどうもないだろ!人を殺しておいて罪悪感はないのか!」

「人じゃないよ?そいつら。」

「は、はぁ?何を言ってんだ!?」

「人に限りなく近いから目の前で死なれたら目覚めが悪いけど、所詮はNPCだよ?なんでムキになってんの?しかもさぁ……」


そう言って僕は初心者剣士ですといった格好の男の目の前でターンをする。


「ほら、エフェクト出てないでしょ?世界観に則るなら、女神さまはお許しになったんだよ。もちろん現実じゃあ無罪になるとしても人は殺さないけどね。」

「でも、こんなに人に近い……」

「じゃあお前は現実でも犬殺すんですね~ってことになるけど?」

「や、やめなよケンゴ。ケンゴも殺されちゃうよ?」

「でも……」

「文句は女神さまと開発者に言いな。じゃーねー。」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る