第18話 レベル上げは大事

放課後になった瞬間にバッグを取り、駆け出す。

ゲームを始めてから体がよく動くようになってきた。

力自体は変わっていないが、体がより思い通りに動くというか。

人ごみを避けるのもかなり簡単になった。

脳になんやかんやしてるだけあって神経に効果でもあるんだろうか。

それはそれで怖いような。


☆☆☆


今、僕のレベルは27。エリアボスのめちゃでか蛙ぐらいならもう倒せるだろう。

ただ、僕の狙いは、


「でか蛇ぃ!斬首!」


この蛇だ。

リスポーンさせられこいつのせいで手に入るはずだったはずのお金が無くなってしまった。あと単純に腹立つ。

まあスキルは不発だったが、スキルなしの切り返しで首筋に傷をつけた。


「あはははは!バインドチェーン!衝牙切り返し回転切り兜割りぃぃ!」


簡単に出せるコンボをバインドチェーンで拘束した蛇の頭に当てる。


「ぐっ……ふざけ「はいどーん!」がっ!」

「お前の声なんか聴きたくないよ。蛇の張りぼてのくせして言葉なんかしゃべって。どんな頭してたらこんなプログラム書けるんだよ開発者……」

「なにをぶつくさ言っている!」

「さっきの言葉、黙れって意味なんだけど。蛇もどきの頭には難しかったかな?」

「私に殺された分際で何を言う。負け犬が吠えたところで何も思わん。」


なんかニヤニヤしてる。


「蛇の顔面で表情って作り出せるんだね。どうなってんの?」

「……?」

「バインドチェーン!」

「ぐっ!」

「表情筋は解剖して調べるからおとなしくしてな!斬首!」


首を切り落とすために剣を横に振る。

その瞬間、蛇を拘束していた鎖が消えた。

恐らくここだ。


「衝牙、回転切り!」

「なにっ!?」


やはり後ろから近付いてきた蛇の顔に回転切りをする。

MPとスタミナをかなり増やしたから存分に魔法とスキルを使える。


「僕たちみたいなプレイヤーは死に覚えがあるから強いね。ま、半ば推理だけど。」

「くそっ!これでもどうだ!」


そういった後、蛇は僕を囲むように分裂した。

こういう時は、


「バインドチェーン!」


鎖はは僕の左斜め後ろにいる蛇に向かって伸びた。


「な、なぜだ!」

「このスキルは聖職系でも覚えられるらしくてね?エーデラントの教会の本に詳しいことが書いてあったんだよ。『鎖は罪深き穢れた魂を捕らえる。』ってね。」


だから魂がない幻術には見向きもせずまっすぐ本体に飛んでいったわけだ。

僕はインベントリから杖を取り出しながら蛇に近づいていく。


「さ、サクッとやっちゃおうか。」

「ま、待て。私は生かしておいた方がいい!」

「蛙が増えても殺せばいいんだよ。蛙の増えすぎ防止以外にお前の役割あるの?」

「…………」

「ないじゃん。じゃあ殺すねー。」

「かかったな!」


だと思ったよ。

だから杖を出したんだ。


「空間接続!」


横に飛べば、蛇の真後ろ。ちょうど首につけた傷が見える位置だ。


空間接続

魔法

2点の空間をを捻じ曲げ、接続する魔法。


レベル上げ中に熟練度的なものが貯まったのか、新しく覚えた魔法だ。

この魔法によって、今までできなかった立体的な移動ができる。

僕を見失い、目を見開いている蛇に向かって、


「斬首!」


見事に目を見開いたまま切り落とされた首。

しばらくすればそれも消え、ドロップアイテムが落ちている。

蛇の皮がたくさん、牙が2本、毒袋、そして古びた本だ。

全部インベントリにしまった後、本を確認してみる。


スキルブック 魔法スキル:幻

読むことで幻を作り出すことができる魔法を使用可能になる本。


スキルブックだ!

あの蛇もこれを読んであそこまで強くなったんだろうか。

いや、そういう設定もしくは普通にレアドロップかなんかか。

ひとまず読んで覚えよう。


『魔法スキル:幻を習得しました。魔法:幻影を習得しました。』


幻影

魔法

その場に自分の幻を作り出す魔法。魔法名を言わなくても発動可能。使用後少しの間注意を引かなくなる。


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