第12話 決着、悪徳商人

もう単純な突進は使ってきていない。それならグロウィスの盾でスタンさせてもらうのは厳しいだろう。恐らく盾をつかまれる。

急所突きは剣よりも接近しないと使えない。格闘スキルでは飛び蹴りがなくはないが、効くかどうかといわれたらNOだ。

回転切りはどう使ったらいいかわからない。

パリィ、受け流しでスタンを狙うのも、相手が攻撃ではなく掴みなので厳しい。

切り返しは突進中に当てられるような素早いスキルではない。

使えるのは兜割りか斬首。

兜割りは頭上のみ。頭上はしっかりと外骨格があるので、斬首の方がダメージが出る。

斬首を当てるなら必ず首を切れる状態というものが必要だが、今まで一回も使っていないので判定がわからない。

ただ、やってみた方がいいことだけは確実だ。

幸い、体格差はほぼないのでダメージは入るはず。

そんなことを考えているうちにも、戦士が一人持ってかれた。

魔法使いの4人は誰も欠けていないが、明確にダメージを与えた土魔法使いのMP切れの頻度が高い。

このままだとジリ貧、やっぱり当てるしかない!

上空の融合体はちょうどこちら側に向かって来ている。

狙いは……僕だ!


「よぉし!ばっちこーい!」


ゴウッッッッ


大きな音を立て正面から迫る融合体。

他のプレイヤーは掴まれているときにダメージを受けた感じがしなかった。

だったらVITが紙でも今の作戦で倒せる!

狙い通り上空まで僕を運んだ融合体。

そして空中で話した瞬間、


「バインドチェーン!」


鎖を伸ばし、融合体を拘束。

そして途中で鎖を引いておく。

そうすれば、僕らの位置関係は逆転する!


「斬首っ!ギロチンバージョン!」


普通のスキルの青い光とは違う赤い光が剣に纏わりつき、落下するのに従いその光は尾を引く。

融合体が地面に落ちるより先に、僕の剣が首に到達する。

そして地面に着くと同時に、融合体の首は切り落された。


『レイドボス撃破。この戦闘の参加者に報酬が配布されます。MVP、ラストアタックのプレイヤーは追加報酬が配布されます。MVPプレイヤー、グロウィス。ラストアタックプレイヤー、コルクラニア。』

『目標が達成されました。これにより現在進行中のクエスト「鍛冶屋の再起」が達成されました。また、重複クエスト「悪徳商人を打倒せよ」の報酬も受け取ることができます。』


「みっ、コルクラニア!最後のあれ、凄かったな!」

「でしょ。ほとんど思いつきだし賭けだったけど。」


インベントリを確認すると、白銀虫の外骨格と、アクセサリーの白銀羽の耳飾りとやらが入っていた。

グロウィスに確認すれば、外骨格がたくさん入っていたらしい。

この辺はレベルとかの関係なのだろうか。

何はともあれ、ダイン融合体を倒したことでジーナのクエストをクリアできた。

これで新しい武器を作ってもらえる。


白銀羽の耳飾り

極めて珍しい白銀虫の羽をモチーフにしたピアス。装備時AGIが1.5倍。レイドボス、ダイン融合体ラストアタック報酬。

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