第13話 新装備と次の一歩

ダイン融合体を倒した次の日にジーナの工房が復活したため、すぐにインパクトボアの牙を渡した。鎧も作ってくれるとのことだったので、白銀虫の外骨格も渡した。どうやら白銀虫はとてつもなく珍しいのモンスターで、こんな素材を使っていいのかと驚きながらも喜んでくれた。

ダイン融合体はダイン、人間と白銀虫の融合した姿ということなんだろう。

そこからさらに数日、今日が約束の日だ。


「やっほージーナ。できてる?」

「もちろんだコルク。胸を張っていいものができたと言える。」


そういってカウンターから出したのは装飾がほぼない武骨な剣と、白銀に輝く胸当てと肩当て。防具の方は装飾もしてある。


「剣は完全に俺だけ。鎧の方は知り合いにちょっとだけ手伝ってもらった。」


剣を鞘から抜けば、骨のように白い両刃の刀身が現れた。触ってみるとひんやりしていて、叩くと金属の音がした。根元の方の平らになっているところには牙についている茶色い模様が少しだけついている。

鍔は段々になっていて、柄は茶色の革、柄頭にはイノシシのしっぽのような紐……腕貫尾だっけか。がついている。

防具の方は胸当てと肩当てが片方だけ。右の方は作らないでもらった。そしてとてつもなく軽い。これならAGIが多少低くてもまともに走れそうだ。今はステ振りとアクセサリーの効果で15ぐらいにはあるが。

作ってもらったものを装備すれば、ウィンドウで詳細が出てくる。


衝牙

ジーナ作の片手剣。インパクトボアの牙を素材にしたことでMPを消費して衝撃波を発生させることができる。装備時STR+55、スキル:衝牙が使用可能。


白銀虫の軽装鎧

ジーナ作の鎧。鎧は硬いがとても軽く、装備者の負担軽減につながる。装備時VIT+105。


「特に剣の方だが、今のお前でも十分に使えるように力を抑えてある。もっと強くなったりいい素材が手に入ったら俺のとこで打ち直してやるからもってこい。」


大体のゲームにあるが、このゲームも装備に必要ステータスがある。

衝牙の方は処刑人の補正ありでギリギリ、白銀虫の方は必要ステータスが非常に低い。初期装備の凡庸の革鎧並みだ。

絶妙な調整をするNPC、ゲームに感動しつつ、工房を後にする。

グロウィスはもう王都グロリアスの方に帰ってしまった。

一度行った街にファストトラベルできる施設があるようで、王都にはパーティよりも大きなプレイヤー集団のクランの本拠地や店があるらしい。

気になったのはスキルを売っているお店。

スキルは自分で習得する以外にも、教えてもらうこと、買うことができるみたいだ。

しかも、技としてのスキルだけでなく、武器スキルの方も売っているらしい。

とりあえず今の目標は王都に行くことだ。

寄り道せずにまっすぐ行ったとしても5エリアぐらい攻略しないといけないけど。

その時々でエリアボスにも喧嘩吹っ掛けていこう。

新装備で心機一転。エーデラントを去り、湖畔の要塞遺跡に向かう。

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