第9話 価値観を教えられる
ゲームをやりすぎて感覚が変わったのかもしれない。
陰謀論者が「フルダイブは人類を改造しているんだ!」とか言っているのはこういうことがあるからだろうな。
家に帰り、多少の予習、復習、課題を終えた後はmore anotherにログインする。
特有の浮遊感とともに宿屋の自室で無事に目覚めた。
昨日は買う前にログアウトしちゃったからまずはインパクトボアの牙を買っていこう。成功したら武器の素材になるし。
ウィンドウに表示される時計を見ればもう7時半。そろそろ慎司と連絡とるか。
メッセージを送ればもうエーデラントにいるとのこと。
走って噴水広場まで向かえば、銀色に輝くフルプレートメイル、いかにも騎士といった格好のプレイヤーが立っている。
向こうもこちらに気づいたようでそれぞれ近づく。
「よ!み…コルクラニア!」
「やぁグロウィス。なんか恥ずかしそうだね?」
「普通にロールプレイが恥ずかしくなったんだよ!特にリアルで知り合いだし。」
「早速だけどクエスト発生させよう。多分兵士の詰め所で話を聞けば受けれる。」
「なるほど。わかった。」
「けどその前に露店によっていい?買いたい素材があるだよね。」
「わかった。」
大通りのドロップアイテムを売っているおっさんのところに来た。
「おっさーん。まだインパクトボアの牙残ってる?」
「おう。まだあるぜ。ほらよ。」
「ありがとう。これお金ね。」
「7000ちょうど。毎度あり!」
「えっ!?インパクトボアってエーデラントで手に入るんですか!?」
「いや、たまたま1本だけ仕入れができたんだよ鎧の兄ちゃん。この辺じゃまず手に入らない。」
驚くグロウィスに問いかける。
「これそんな珍しいものなの?」
「そりゃそうだよ!レベルでいえば50、60とかのエリアのモンスターだからなインパクトボア。王都について浮かれたまま突撃したら即リスポーンした。」
「その時はレベルいくつだったの?」
「32とか。」
「君が悪いよね?」
「うっせ。」
「それは置いといて武器にすると効果でもあるの?」
「ああ。武器に衝撃波を出すスキルがついてる。持ってないけど使ってたやつが知り合いにいたから覚えてる。」
「へー。結構楽しみ。」
詰所につくまでそんな話をしながら歩いていく。
「グロウィスはジョブ就いてるの?」
「見たらわかるだろお前、騎士だよ騎士!そっちは?」
「無職。」
「む……?もっかいいいか?」
「だから無職だよ。」
「よし!まずはジョブに就こう!」
「え?なんで?」
「そりゃ就いた方が得だからに決まってんだろ。ステータスが倍率で上がるしものによっちゃあスキルを覚えられるんだぜ?」
「ホントに!?ちなみにどんな!?」
「食いつき半端な……戦士の上位職の騎士は回復魔法と盾のスキル。もう一つの狂戦士ってやつはMPが使えなくなるスキルらしい。それはジョブ変えたら治るけど。」
「騎士の方は覚えたまんまなのか。」
「そう。スキルを簡単に覚えられるんだから行った方がいいって!」
「でも戦士とか剣士じゃすぐには覚えられないじゃん。」
「いいから行くぞ!」
力めっちゃ強いなこいつ。レベル50台は伊達じゃないってことか。
「こんにちはシスター!」
「あら。えーと、ここで戦士になった子よね?」
「そうです!」
「あなたの転職ですか?それともそっちの?」
「こいつの方です!」
引きずられたし持つところが悪くてHPが若干減ってる……
この前と同じく祈るとまた同じようにウィンドウが出てくる。
・戦士 STR↑中 VIT↑小 AGI↓小
・剣士 STR↑小 DEX↑小 AGI↑小
・格闘家 STR↑中 AGI↑小 VIT↓小
・魔法使い MP↑小 INT↑中 VIT↓小
・処刑人 STR↑中 DEX↑中 AGI↓中
「ねぇ、このうちどれがいいと思う?」
「おお!処刑人一択でしょ!スキル一発で手に入るし初級職より強いし!」
「そうか。じゃ、これにしよう。」
『ジョブが処刑人に変更されました。特殊スキル:処刑人を習得しました。』
「にしてもよくそんなのの条件達成してたな。狙うの結構大変なんだろ?7割クリティカルで連続十何体ワンパンとかだっけ。」
「知らない。兜割りでゴブリン殺しまくってたからかな?」
「確かに脳天にジャストならクリティカルだけどよぉ……」
特殊スキル:処刑人
処刑人のジョブに就いたものが習得するスキル。
各々の戦い方によって使えるスキルが異なる。
バインドチェーン
アクティブスキル
MPを消費し、まっすぐに鎖を放つ。鎖に絡まれた対象は拘束状態になる。
斬首
アクティブスキル
対象の首を確実に切ることができる場合のみ使用可能、対象にとても大きなダメージを与える。自身のDEXが高いと体格差があっても使用可能。
「結構なインチキスキルだね。これ。」
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