第8話 新パッシブスキル

今度は1体多の稽古に参加させてもらう。


「回転切り!」

「パリィ!」


これがなかなか難しいもので、全体攻撃できる回転切りを使えば誰かにパリィされる。そしてその隙に攻撃を受ける。

1対多は包囲を無事に切り抜ける事が目的らしいがこれじゃだめだ。

かといって個々撃破は難しい。1対2×3とかにしたいんだけど。

一人一人撃破していくのではなくてスタンさせる方針で行こう。

急所突きでスタンした兵士を背負い投げ。これスキル扱いされないんだ。

背負い投げで近づいてきた兵士を下がらせ、その隙に飛び蹴り。

ノックバックで包囲に穴が開いたのでそこから出る。

横から剣が迫ってくるが、


「受け流し!」


受け流し

アクティブスキル

剣の側面で滑らせ相手の攻撃を受け流す。完了時に転倒効果を付与。


パリィはスタン。のけぞるように相手の体勢が崩れるが、受け流しは転倒なので文字通り、相手は転ぶ。

魔法は消費が激しすぎるのと奥の手的な意味で温存中だ。


『スキル:思考加速を習得しました。』


慌ててステータスを開く。


思考加速

パッシブスキル

脳の情報処理速度が上昇する。


なんか”脳”って書かれるとちょっと怖いが、って!?

やばい、まだ稽古は終わっていなかった!

インベントリ内から杖を取り出し、自分の横を


「空間圧縮。」


魔法を使い、すぐさま横に飛ぶことで距離を取ることに成功した。


「そこまで、それぞれ休憩に入れ。」


新スキル、なかなかにすさまじいかもしれない。


☆☆☆


結局あの日はあれ以上スキルを覚えることなくログアウトした。

今日も今日とて学校だ。

すぐさま制服に着替え朝ごはんを取りつつ天気予報を見る。

帰りの時間帯に雨になるのか。雨具出さないと。

自転車にまたがり、学校へと向かう。

教室に入れば、男子は猥談やらゲームその他。女子はいまいちわかんない。


「なあ桜庭。お前なんかゲームやってんの?」

「最近モアアナ買ったからもっぱらそれ。」

「あーそれね。俺王都グロリアスまで行ったわ。」

「レベルいくつぐらいなの?」

「50ちょい。」

「へー。もうちょっと頑張らないとな。」

「今どこの街?」

「エーデラント。」

「クッソ序盤じゃん!キャリーしてやろうか?」


薄ら笑いを浮かべながら友人、友人?の藤里慎司が言ってくる。


「いらない、と言ったら嘘になる。」

「へぇ!なんで?」

「商人倒すクエスト生えたからそれにレベル50がいれば使えるなって。」

「なるほどな。金はいくらあってもいいからな。そっちに行くわ。名前は?」

「コルクラニア。」

「俺はグロウィスでやってるから噴水広場で今日の夜な。」

「はーい。」


そういや僕の受けたクエストにはお金の報酬がなかったが大丈夫だろうか。

そうしてるうちに授業が終わり、放課となる。

すぐに家に帰ろうとすると、予報通りの雨だ。

雨具を着て自転車にまたがる。

坂道が多いためブレーキに気を付けなければいけないんだが……

案の定ブレーキの利きが悪く、スピードが下りで出すぎてしまう。

ギリギリ止まれないかもしれない!

すぐさま僕はハンドルを右に精一杯切り、体を前に出す。

するとドリフトのように大きく車体がひねられ、止まることができた。

……?

自分でもよくわからないが突拍子で成功してしまった。

意外と焦らなかったな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る