第7話 聞き込み調査と稽古
「錆びたナイフ21本で合計11000ガリンです。」
「あれ?ちょっと買い取り額高くない?」
「森の奥の方が比較的きれいなものなので街道沿いよりわずかに高いんです。」
「へー。ついでに聞きたいんだけどこの紋章見覚えある?」
そういってチンピラから貰ってきたドッグタグを見せる。
店員の女性は少し黙った後、
「……それはダインの紋章です。」
「やっぱり?」
「そうとしか思えません。商品は質が低く高値、高利の金貸しをして対抗を消し、私腹を肥やす商人です。」
悪評しかないな。
「私ったらすみません。お客様にこのような話をしてしまって。」
「全然大丈夫だよ。そっちも目的だったし。」
噴水広場のルーク商会は露店とは違った品ぞろえで、服や雑貨、アクセサリー、武器や防具まで売っている。
このゲームはアクセサリーが装備としてあるみたいなのでお金をもう少し稼げるようになったら買ってみようと思う。
☆☆☆
「ルーク商会と露店の人に聞き込みして好意的な意見はゼロ、隠すのともみ消すことがうまくて武力もあるからまだ検挙されてねぇと。おおむね俺の知ってる通りだ。」
「そうですね。私がジーナさんから聞いた通りです。」
ジーナとその横の兵士が答える。
兵士団の方でも相談が増えたことで証拠集めをしていたらしい。
何か作為的なものを感じる……
とりあえず兵士団の協力は得られた、というかこちらが協力する感じなのだが、決行が明後日の夜。それまでは稽古に混ぜてもらえるらしい。
2つ返事で了承し、詰所に備え付けられた稽古場に集まる。
他のプレイヤーも10人ぐらい居て、僕に魔法を教えてくれたスルメイカもいる。
スルメイカに近づき、話しかける。
「ねぇ、なんでここに集まったの?」
「うぉっ!びっくりさせんなよ。お前は違うのか?街で悪徳商人を打倒するのを手伝ってほしいってNPCに言われたからだよ。」
「クエストって出てる、よね?」
「ああ。お前もだろ?」
「うん。鍛冶屋の再起ってやつ。」
「はぁ?なんだそれ。俺は悪徳商人を打倒せよってやつだからお前だけ違うのか?」
「かもね。ジーナって知ってる?」
「知らん。レアクエストなのかもな。」
他の人に聞いたらスルメイカと同じものが全員だった。
稽古は1対1、1対多のものだった。
NPCと向かい合い、木剣を構える。
ジーナよりは遅いがそれなりに早い。
「切り返し!」
「パリィ!」
NPCが使ったこのスキル、ただの切り返しより二撃目が強くなり、より早く出せるといった普通に使えるスキルだ。
連続で受けたときはひやひやしたが、一撃目にパリィを入れることで攻略できた。
今は「切り返し」を覚えるため普通の切り返しをひたすらにやっている。
『スキル:切り返しを習得しました。』
来たぁ!
「切り返しぃ!」
「ぐっ!」
「やめ!二人ともいったん休憩だ!次!」
切り返し
アクティブスキル
二連撃の二撃目のダメージ、攻撃速度に補正。
インターネットで調べたところ、スキル同士はつなげることができるみたい。
コンボという意味ではなくスキルに他のスキルの効果を重ねて使えるということだ。
切り返し→回転切りや切り返し→兜割り。今できるのでは切り返し→縦に回転切り→兜割りだろうか。縦回転切りは練習したらできた。さすがVR。
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