第5話 初クエスト
男は武器がないので徒手空拳だが全体的な動きが速い。
ただ攻撃が大振り、足もおぼつかない。
酒でも飲んでるのかな?よく見たら顔赤いし。
ナイフはさすがに死んでしまうので出せない。
剣スキルだがナイフでもできないことはなかったのでおそらく大剣でもできる。
もしくはできるスキルとできないスキルがあるかだけど。
スウェイ
パッシブスキル
回避時自動的にAGIに補正。
このスキルは今僕が持ってる唯一のパッシブスキルだ。
アクティブスキルは声を出して行動に移すと効果が発揮される。
パッシブスキルは声に出さなくてもスキルの条件に合致したときに自動で効果が発揮される。
「ほっ!よっ!はっ!ねぇ!いつになったら落ち着くんだ、よっと!」
ドグッ
「うぐっ…!」
さすがに心臓めがけてやったら落ち着くでしょ。
「黙れ!お前に何が分かる!」
「わかんないから聞いてんだよ!いったん冷静になれ!」
「工房も金も何もかも奪われて!これから俺にどうしろってんだよ!」
「あっこれ話聞いてないな?まったく最近の若者は…ん?工房って言った?」
「ああそうだよ!鍛冶師が工房をなくして何ができるんだ!」
あーなるほど?大体わかったぞ?
「お兄さんは何者かになんやかんやされて工房がなくなったと。取り返す手段は?」
「あったらこんなとこでくすぶってねぇよ!」
「まあ落ち着きなって。水飲みな?」
水を差しだせばはじかれると思ったので半ば強引に口に入れる。
喉を鳴らして勢いよく水を飲む男。
「ほえぇーよく飲むね雨水なのに。」
「ごがっ!クソガキィ!」
「フフッ…そんなんはいいとして僕はどうすればいい?襲撃者でも殴ればいいの?」
「て、手伝ってくれるのか?」
「もちろんタダじゃない。ちょっと武器が欲しくて。」
「在庫も全部売られてると思うからすぐには用意できないぞ?」
「今はこの辺の素材しかないけど作ってくれるなら集めてくるよ。」
「そうか。俺はジーナだ。名前は?」
「コルクラニア。略してもいいよ。」
「そうか。じゃあコルク野郎、契約成立だな。」
「コルクって…まあいいけど。」
『クエスト:鍛冶屋の再起を受注しました。』
おお!クエストだ!
すかさずウィンドウを呼び出せばクエストの説明が出てくる。
クエスト:鍛冶屋の再起
悪徳商人に騙されてしまい工房を作品ごと奪われてしまった男、ジーナは自分の工房を取り返し、もう一度槌を振るために賭けに出た。
目標:商人ダインの告発 商人ダインの殺害
報酬:ジーナの店がオープン、利用時に格安になる。
追加報酬:片手剣
「ジーナ。僕はそういう気がないけど騙されたばっかりだったんなら人をすぐに信じちゃだめだよ。」
「まあ胡散臭そうな話し方してるもんなお前。妙に強気だし怪しいぜ。」
「ま、とりあえず証拠集め?兵士に話を通したりもしてみる?動かないと思うけど。」
「やるだけやってみよう。他に騙されたやつがいれば楽だがな。」
「僕は大通りで聞き込みしてくるよ。ジーナは職人仲間でもあたっといて。」
「いや、俺にそんな奴らいないぞ?」
「うそでしょ?……じゃあ兵士さんに話しといて。嗅ぎまわってることがばれても兵士の近くなら襲われづらいだろうし。」
二手に分かれた僕たちはそれぞれの場所に向かった。
まずは顔見知りのドロップ品の店のおっさんからだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます