第7話:石像

 ドーーンと大きな音が鳴り響いた。石像が石で作られた大剣を振り上げた音だった。周囲の静寂を一瞬にして打ち破り、地面が揺れる。


 俺は魔狼姿で駆け回る、そしてエネルギー砲を放つがまるで効果が無い。幸いなのは石像の動きがとろく遅いと言う事だ。

 だがこのままじゃ俺の体力が尽きるのが先だ。

 出口はいつの間にか塞がれてるし。

 更には“世界の知識“が発動しないって事はこの石像は特殊なモンスターだ、ニセガミって言う奴もそうだけど。つーかあいつの見た目完全にラスボスなんだよ。

 普通もっと終盤に出てくるだろ。

 再度ドーンと大きな音がなる、石像が大剣を振り上げる、また大きな音がなる。


 どうする、このままじゃ神経が擦り切れそうだ。

 何とかしてくれ!!AIさん!

【対象者には結界が確認されました。この結界は対象者の防御手段として機能しています。

 したがって、まずこの結界を破壊する必要があります。結界を破壊すれば、対象者に対する攻撃が可能になります。】

 どうやって結界を壊せばいいんだよ!

【物質での攻撃、たとえば強大なエネルギーを一度にぶつける事で結界に直接的なダメージを与え、効果的に破壊することが可能です。】

 なるほどな、良く分かった。ならば一度この状態を解除する、この姿より本来の姿の方が本気で攻撃出来る。

 俺は擬態を解除すると設定怪物システム・モンスターに戻った。

 この状態なら物理攻撃は一切効かない。つまり奴の攻撃もこんな風に避ける必要は無いのだ!

 ドーンと俺に大剣が来るが無効化に成功している。

 けど衝撃でエネルギーが分散した。直ぐに戻す事は出来たけどこれから馬鹿のことは辞めようと刻んだ瞬間だった。


 ただ単純にエネルギーをぶつけても勝てるのか。

【攻撃プログラムを開始します──】

 え?攻撃プログラム??そんな機能あったのか?知らなかった流石AIさんだ!まぁよく分からないけど頼むよ!俺は避ける事しか出来ないからさ!


【システム起動プロセスを開始します。現在の状況を分析中。情報収集を行い、敵の動向を把握しています。全センサーが稼働し、データがリアルタイムで解析されています。


 攻撃モードの起動を確認。目標の特定を行い、ロックオンプロセスを開始します。最適な戦略を計算し、効果的な攻撃手段を選定中。


 攻撃準備が整いました。次のステップに移行します。


 攻撃を実行します。

 システムは迅速かつ効率的にタスクを遂行します。

 攻撃プログラムが完了しました。


 設定魔法術システム・マジック超濃度火力エンバーズの発動準備が完了しました。いつまでも放出可能です】

 な、何が起きてるか分からないけど!よしならば!

設定魔法術システム・マジック超濃度火力エンバーズ

 その瞬間俺の前の緑色の魔法陣が現れた、そこからエネルギーが放出される、ごっそりとエネルギーが減るの感じる共に大規模な爆発を起こした。

 結界を破り石像を一撃で砕き迷宮内に衝撃音を轟かせた。

 今何が起きた?俺は崩れる石像を見ながら呟いた。


【エネルギーを効率よく、かつ最大火力で発揮するために、設定魔法術システム・マジックを生成しました。この魔法術は、エネルギーの流れを最適化し、消費エネルギーに対して最大の攻撃力を引き出すことを目的としています。

 具体的には、エネルギーの集約と放出を制御する仕組みを組み込み、瞬時に高出力を実現します。このシステムにより、エネルギーの無駄を省き、敵に対してより効率的かつ効果的な攻撃が可能となるでしょう。】

 うぉすげぇな。AIさん半端じゃない。

 俺は石像に近付いた

【石像の少々の情報を確認されました。獲得しますか?】

 イエスマイムー。そして俺はスキルを獲得した

 どうやら残っていた情報はスキルの情報らしい。

【結界】スキルだった。


 石像を倒すと声が聞こえる。

「お見事!!さぁ、新たな道が開いたよ!進め!」

 勢いよくそして楽しそうに呟いた。無邪気な子供のようだ。全く俺は見世物じゃないんだけど。

 と、思いながら俺は石像に奥に進んでいく。



 歩いていると次の場所ステージが現れた。

【ここは、灼熱地帯。エネルギーの集合体である君も落ちれば一溜りもないよ〜頑張れ〜】

 こいつは相変わらず楽しそうに言うな。

 しかし今は気にしている暇はない、ぷくぷくと音を立てている。

 落ちれば間違いなく死ぬ・・・多分。

 まぁ落ちなければいいのだ。とりあえず足を滑らせないように慎重に進む。

 だが奴は現れた溶岩からゆっくりと姿を現したのは

 炎の形をした生物。すぐ様AIの『世界の知識』が発動した。


【精霊族:

 種族名:中位精霊炎の化身プロメテウス

 特徴:炎の攻撃や防御を行うことができる。火を使った攻撃魔法を自在に操り、敵を焼き尽くす能力を持っている。】

 ッチ厄介だ、更には俺と同じエネルギーの集合体らしく物理攻撃が一切効かない。

 けどそれは俺も同じだ!つまりお互いやる事無し!って事訳だ。どうするか俺が考えていると炎の化身プロメテウス炎を放つ。聞かないと思ったが俺は感じた。

「あ、あっつぅぅ!」

 なんで熱いんだよ!俺物質体だろ!

【原因:エネルギーの集合体にも関わらず攻撃を喰らうということは炎の化身プロメテウスが特殊な波動を使っているからエネルギー自体が傷ついていると推測されます、しかし本来はそのような能力は備わっていません・・・つまり外的要因から要素から来ると思われます】

 なるほど、エネルギーが生命の俺がダメージ聞く訳だ。そして間違いなく外的要因って言うのはあのニセガミって名乗った者だ。

 あいつ、つくづくと俺の邪魔をしやがる。俺が何をしたって言うんだよ。

 まぁ今愚痴を言っても仕方ないので倒す方法を考える。

 待てよ・・・そういや俺水を10L確保したはずだ。

 それを一気にぶつければいくら物理攻撃が無効とて効くのでは?

 炎は水と相性が悪い。

【水を大量に放出すれば、撃退が可能です。炎の化身プロメテウスは火属性に基づいた存在であり、水はその特性に対して弱点となります。また、エネルギー体である炎熱プロメテウスは熱エネルギーに依存しているため、水による冷却効果でそのエネルギーの流れが乱れ、力を弱めることができます。】

 やはり!ならば俺かやる事は一つ!水を大量に放出する!水のエネルギーを効率よく最大限発揮する為に

 設定魔法術システム・マジックを応用して発動する。

 炎の化身プロメテウスは炎を放ち俺に攻撃をするが俺は避ける。魔狼に擬態すると熱エネルギーで攻撃を食らってしまう。あれは精度良すぎて生物本来の状態異常にもかかってしまう。

 熱や病気など、その反面この設定怪物システム・モンスターの時は暑さや寒さを感じないのでこっちの方が都合いいのだ。


 しかし炎の化身プロメテウスはエネルギーを高めた、攻撃が当たらないと思ったのか広範囲攻撃に切り替えたようだ。


 これやばい?ドーーンと大きな音共に炎が会場を包んだ。

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